2-2 炉心崩壊事故の影響を炉容器内に閉じ込める

−内部ダクト付き燃料集合体における燃料流出挙動の解明−

図2-3 内部ダクト付き燃料集合体における溶融燃料の上向き流出に関する基礎実験

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図2-3 内部ダクト付き燃料集合体における溶融燃料の上向き流出に関する基礎実験

溶融燃料と冷却材の模擬物質としてそれぞれ高密度低融点合金の溶融物(燃料模擬物質)と水を用いて、冷却材の蒸気によって形成される圧力が燃料模擬物質を上部プレナムに向かって流出させる駆動力のひとつとして作用することを解明しました。

FBRの安全性を確保するには、炉心燃料が溶融して炉心が崩れる事故(炉心崩壊事故)の発生を防止するとともに、炉心崩壊事故が発生してもその影響が炉容器内に格納されるよう事故を緩和することが重要です。

FBRの炉心崩壊事故においては、大量の溶融燃料が炉心内部にたまり、これが急速に集まる動き方をすると、炉心に大きな反応度が入り、炉容器が破損するような過酷な出力上昇が発生する可能性があります。従来のFBRでは、このような状況になっても炉容器の健全性が確保されるよう設計してきましたが、次世代FBRの開発においては、安全性を更に向上させるため、過酷な出力上昇の発生原因そのものを排除し、炉心崩壊事故の影響を炉容器内に確実に格納することを目指しています。具体的には、溶融燃料の流出を促進するダクトを燃料集合体の中に設置し(内部ダクト付き燃料集合体)、大量の溶融燃料が炉心内部にたまることを防止します。

本研究では、内部ダクト付き燃料集合体における溶融燃料の流出挙動を解明するため、模擬物質を用いた基礎実験を行いました。現在、炉心上端に向かって開口(下端部はほぼ閉止)を有する内部ダクトを設置し、燃料溶融時に放出される核分裂生成ガスによって高まる炉心の圧力を利用して溶融燃料を上部プレナム方向へ流出させる概念を検討しており、本実験でも内部ダクトと同様の構造と規模を模擬した装置を用いました。また、模擬物質の流出を目視観察するため、溶融燃料と冷却材の模擬物質としてそれぞれ高密度低融点合金の溶融物(燃料模擬物質)と水を用いました。図2-3は、内部ダクトへ放出された燃料模擬物質が内部ダクトの中を上昇し(0.47,0.63 sec)、上部プレナム方向へ流出する様子(1.0,2.3 sec)です。このとき測定した温度や圧力から、燃料模擬物質が内部ダクトへ放出されると内部ダクトの中に入っていた冷却材が蒸発し、燃料模擬物質の流出に対する抵抗となる冷却材が排除され、その後、内部ダクト上端の開口部へ向かう蒸気の流れが燃料模擬物質を重力に抗して上向きに流出させたことが分かりました。

本研究を通じて、核分裂生成ガスに加え、冷却材の蒸気も溶融燃料を炉心の外へ流出させる駆動力として作用することが分かり、内部ダクト付き燃料集合体は炉心崩壊事故の炉容器内格納を達成する有効な手段であることが確認できました。



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