13-8 保安機器をいっそう健全に運用管理する

−高温ガス炉用中性子検出器の損傷検知手法を確立−

図13-16 広領域中性子検出器(WRM)

図13-16 広領域中性子検出器(WRM)

原子炉圧力容器内に設置して中性子束を計測するための保安機器です。

 

図13-17 WRMへの電気的検査法の適用

図13-17 WRMへの電気的検査法の適用

TDR法により、正常WRMと不良WRM両者のインピーダンスの変化を比較したところ、不良WRMは、上図WRM概略図の接続箇所a部近傍において、インピーダンスが大きく変化する損傷部があることを検知しました。

 

図13-18 不良WRMの非破壊検査及び破壊検査

図13-18 不良WRMの非破壊検査及び破壊検査

非破壊検査では、電気的検査法により検知した損傷位置(図13-17 WRM概略図の接続箇所a部近傍)にCT値の低下、すなわちリード線の断線を確認しました。一方、破壊検査では直接、該当部位のリード線に断線を確認しました。

広領域中性子検出器 (WRM) は、高温ガス炉の研究開発に用いている高温工学試験研究炉 (HTTR) の原子炉圧力容器内に設置されており、中性子束を計測して異常な出力上昇時にスクラム信号を発信するなど保安上非常に重要な機器です(図13-16)。しかし、WRMは放射化されており、簡単に取り出して炉外で検査することができません。このため、炉内に設置した状態で検出器内部の損傷発生を検知できれば、WRMをよりいっそう健全に運用管理することができます。そこで、電気的検査を用いた新たな損傷検知手法を考案しました。そして、HTTRで運用中に動作不良が生じたWRMを用い、その原因調査も兼ねて本手法の検証を行いました。

ここで、着目した電気的検査法は、ケーブル断線などを発見するために使用されているTDR法です。まず、正常WRMと不良WRMについて特性インピーダンス波形観察を行い、両者を比較しました。その結果、インピーダンスの変化から、WRM内部リード線の損傷を検知することに成功しました(図13-17)。次に、電気的検査法の結果を検証するため、不良WRMの非破壊検査及び破壊検査を行いました。非破壊の高エネルギーX線CT検査により、電気的検査法で検知した損傷位置と同じ部位にCT値の低下を確認するとともに、その後に行ったWRMの破壊検査で、直接、該当部位の断線を確認しました(図13-18)。

このように、電気的検査法を用いることにより、WRMを炉内に設置した状態でも実施できる、損傷検知手法を確立することができました。

本研究は、高温ガス炉技術の高度化に寄与し、また、将来の実用高温ガス炉にも有用な技術になり得ると考えています。



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