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1 福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発

「環境汚染への対処」及び「廃止措置に向けた取組み」

図1-1 福島復興に向けて環境汚染への対処として私たちが取り組んでいる主な活動
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図1-1 福島復興に向けて環境汚染への対処として私たちが取り組んでいる主な活動

(原子力機構福島技術本部のホームページよりhttp://fukushima.jaea.go.jp

 

図1-2 廃止措置等に向けた研究開発体制
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図1-2 廃止措置等に向けた研究開発体制

原子力機構は、放射性物質の分析・研究や遠隔操作ロボットの開発・実証施設の整備と研究開発運営組織を通じて研究開発を実施しています。(東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(平成25年6月27日))より抜粋

環境汚染への対処

2011年3月11日の東日本大震災発生直後から、私たちは災害対策基本法の指定公共機関として活動を開始し、専門家派遣の協力など様々な形で対応してきました。現在も対応は継続中であり、福島復興に向けて主に次の活動を展開しています(図1-1)。

 

環境モニタリング

人体への影響把握や除染計画策定のためには放射性物質による汚染状況や放射線線量率を正確に把握する必要があります。そこで、海底堆積物中の放射性セシウム濃度の継続的調査(トピックス1-1)を行っています。また、文部科学省からの委託を受け、東日本における空間線量率分布を自動車による走行サーベイ(トピックス1-2)で、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(1F)周辺における放射線マップを無人ヘリコプターによる放射線モニタリング(トピックス1-3)で作成し、汚染状況の把握を行っています。ほかにも、放射能分布作成における深度分布測定,日本全域の航空機モニタリング,原子力機構の拠点立地地域における浄水測定を行っております。

 

環境回復に向けた取組み

放射性物質に汚染された環境を修復するために除染を迅速に行うことが重要です。除染について私たちは、内閣府からの委託を受け、ガイドライン作成,除染カタログ作成,除染技術実証事業を行っています。砂利の除染による廃棄物低減への取組み (トピックス1-4) を行ったり、また、地形の特徴や植生分布の変化などを評価する解析を行うなど福島長期環境動態研究プロジェクトを開始し、土壌汚染の仕組みの解明に向けた取組み (トピックス1-5, 1-6, 1-7)や森林中の移動性セシウム (Cs) の保持機構の研究 (トピックス1-8) も行っています。また、飲料水向け浄水器の開発 (トピックス1-9)、放射性セシウムが付着した生活ゴミの焼却炉内外でのCsの挙動の解析を行っています。これらの研究を踏まえ、今後も環境回復のための除染の最適化や効率化を図る研究を継続します。

 

除染に関する知識の普及

福島県からの要請を受けて、「除染業務講習会」の講師の派遣を原子力人材育成センターを中心に対応し、平成24年度までに15回開催して7819名が講習を修了しました。また、内閣府・環境省からの要請を受けて整備した支援体制のもと、自治体へ専門家を派遣して、除染計画策定協力や除染技術相談・指導や住民説明会支援を実施するなど、除染に関する知識の普及に努めています。

 

コミュニケーション活動

専門家を派遣して、科学的根拠に基づいたデータやその解釈方法を解説し、普段抱いている質問に答える「放射線に関するご質問に答える会」を福島県内にある全保育園,幼稚園,小中学校約1700校園等を対象に実施しています。2013年3月までに210箇所、17286名(申込者総数)の方に実施しました。

 

住民の内部被ばく検査と線量評価

福島県からの要請により福島県の住民の方々を対象に、東海研究開発センターのホールボディカウンタ(WBC)及び移動式WBC車を用いた内部被ばく検査を実施しました。2013年3月末までに、41043名 (子供30693名、大人10350名)を対象に測定しました。また、条件の違いを考慮した住民の被ばく線量評価の研究 (トピックス1-10) や放射性セシウムを含む汚泥を扱う際の被ばく線量評価の研究 (トピックス1-11) も実施しました。

 

廃止措置に向けた取組み

私たちは、事故発生当初より、政府や東京電力株式会社に対する助言を行うとともに、廃止措置や放射性廃棄物の処理・処分に関して、中長期的に必要な研究を実施しています。

 

プール燃料及び燃料デブリ取り出し準備

1F事故では使用済燃料プールにも冷却のために海水が注入され、燃料集合体やプールの構成材料の腐食が懸念されることから、酸素除去剤が使用されています。私たちは、この効果を確認するための研究 (トピックス1-12) を行っています。

1Fの原子炉内に残されている溶融固化した燃料、いわゆる燃料デブリの取り出しや、その後の保管,処理・処分を安全に行うため、燃料デブリとはどのようなものかを事前に把握することが重要です。このため、ウランやジルコニウム等により模擬デブリを作製し、その特性を調べる研究 (トピックス1-13)、事故時に原子炉の冷却のために注入された海水との反応物を調べる研究(トピックス1-14)、原子炉内の状況の変化などにより、再び核分裂が連続して起こる臨界 (再臨界) を防ぐための研究 (トピックス1-15) を行っています。また、取り出した燃料デブリに含まれる核物質量を測定する技術の開発 (トピックス1-16) を行っています。

 

炉心溶融進展解析及び事故原因の究明

原子炉が停止した後にも、核分裂により発生した核分裂生成物 (FP) などが崩壊して熱が発生するため、冷却を継続する必要がありますが、津波による電源喪失に伴い冷却機能が失われ、原子炉内の燃料が溶融 (炉心溶融) しました。この炉心溶融がどのように進展したのかを詳細に把握するためには、原子炉内の崩壊熱分布をより正確に予測する (トピックス1-17) ことが重要です。

また、事故後、国や東京電力株式会社等がそれぞれの立場から事故原因の調査・分析を行い、報告書を公表しています。私たちは、これらの報告書を分析し、今後の事故調査や新たな規制制度の構築に役立つ情報として整理しました (トピックス1-18)。

 

放射性廃棄物の処理・処分

津波の到来や地下水の建屋内の流入により、大量の汚染水が発生し、敷地内の貯槽に保管されています。これらの汚染水から、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質を取り除くために、様々な処理装置が設置されています。私たちは、汚染水処理により発生する二次廃棄物を含めた放射性廃棄物の保管,処理・処分の技術開発を進めるとともに、セシウムを吸着するゼオライトの構造と吸着性能の関係の解明 (トピックス1-19)、処理工程の合理化のための基礎試験 (トピックス1-20) を行っています。

 

遠隔除染技術開発

燃料デブリの取り出し等に必要な原子炉建屋内での作業における被ばく低減のため、原子炉建屋内を遠隔で除染する技術開発が必要であります。この遠隔除染を効果的に行うためには、汚染源となっている放射性物質の種類や、床・壁への浸透状態等の汚染性状を評価することが重要であり、原子炉建屋内から採取したコンクリートコアサンプルの分析(トピックス1-21)を行っています。

 

今後の予定

今後も、1Fの廃止措置等に向けた研究開発体制において(図1-2)、中核的な役割を果たしていくとともに、放射性物質の分析・研究や遠隔操作ロボットの開発・実証施設の整備を行う予定です。

 



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