1-2 市町村と協力して広域の線量率分布マップを作成する

−走行サーベイを用いた詳細な空間線量率の測定−

図1-5 KURAMA-IIを利用した広域サーベイの結果

図1-5 KURAMA-IIを利用した広域サーベイの結果

道路を走行して3秒毎に測定した空間線量率を100 m のメッシュ内で平均し、その線量率範囲を色で示しました。

東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に沈着した放射性物質による環境や人への影響を長期にわたり正しく評価し適切な対策を講じるために、空間放射線量率の広域かつ詳細な分布を把握することが必要とされてきました。私たちは自動車による走行サーベイを利用して大量の空間線量率データを短時間に取得可能な体制を整備し、定期的に詳細な空間線量率マップを作成してきました。

走行サーベイではKURAMA-IIと呼ばれる、京都大学原子炉実験所で開発された、コンパクトで操作が容易な測定システムを車中に積載して用いてきました。このシステムの特徴は、測定した空間線量率と位置情報を携帯電話回線を利用して転送し、リアルタイムでデータの蓄積と確認を行えることです。私たちは、KURAMA-IIを用いて正確な測定を行うために必要なスペクトルを線量に換算する関数 (G(E)関数) の整備,標準線源を用いた特性試験等を実施して、システムの信頼性を確認しながら測定を行ってきました。

放射性物質が沈着している可能性のある広い地域を対象に走行サーベイを実施することとしました。その結果、岩手県から山梨県に及ぶ東日本の広い地域が測定の対象となりました。主要幹線道路の測定を私たちが実施するとともに、200程度の市町村の協力をいただき細い道路も含めた詳細な測定を行い、図1-5に示すように広域かつ詳細な空間線量率マップを作成することができました。

私たちは定期的に同様な空間線量率マップを作成していく予定です。ここで得られた結果は、将来の空間線量率分布の変化を予測する数理モデルの構築に活用されるとともに、現在開発を進めている情報発信システムを通してより分かりやすい形で広く公開していく計画です。

本研究は、文部科学省からの受託研究「福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の長期的影響把握手法の確立」の成果の一部です。



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