2-1 地震・津波に対するJSFRの高い安全性の追求

−自然循環崩壊熱除去システムの有効性評価−

図2-2 高速炉免震システム

図2-2 高速炉免震システム

原子炉建屋の下に積層ゴムを配置して、側面壁との間にオイルダンパを設置し、建屋に伝わる地震荷重を低減します。

 

図2-3 Na冷却炉の自然循環崩壊熱除去

図2-3 Na冷却炉の自然循環崩壊熱除去

自然循環除熱では、動力電源を必要とせずに長期の冷却が可能です。JSFRでは、3系統の自然循環崩壊熱除去設備を備えています。

 

図2-4 排気筒倒壊時の空気冷却器の冷却能力評価

図2-4 排気筒倒壊時の空気冷却器の冷却能力評価

3本ある排気筒のすべてが倒壊する厳しい事象を想定しても、倒壊した根元の空気流路が2系統以上確保されている場合には、除熱が可能であることが分かりました。

Japan Sodium-cooled Fast Reactor (JSFR)では、原子炉建屋への免震システムの採用により(図2-2)、東京電力福島第一原子力発電所で観測された揺れに対しても機器や配管の健全性を担保できる見込みです。続く津波に対しては、原子炉停止後に残留する崩壊熱をNaの自然循環により除去するシステムとすることで高い安全性を追求しています。

Naは沸点が高いため広い温度範囲で液体であり、熱伝導にも優れるため原子炉出入口温度差を大きくできます。このため、炉心と除熱源との高低差を付けることで、冷却材を密度差だけで自然に系統内を循環させて崩壊熱を除去することができ、最終的に空気冷却器から大気に放熱します(図2-3)。JSFRは自然循環除熱を積極的に取り入れた完全自然循環式崩壊熱除去系を採用しているため、大きな電力が必要なポンプや空気ブロワ等の機器に頼らなくても、建屋内の非常用直流バッテリーで動作可能な空気冷却器出入口ダンパ操作だけで除熱できます。更に自然循環システムは、津波に対する交流電源確保の面でも利点があります。Na冷却炉では、原子炉が異常停止した際、構造材をNaの急激な温度変化による衝撃から保護するために、ポンプ停止直後からしばらく適量の冷却材を流し続けなければならないため、従来プラントでは流量調整機器を素早く起動させることが必要でした。このため、非常用交流電源として、起動時間の早いディーゼル発電機が必要でした。ディーゼル発電機の冷却に海水が必要なため、取水設備を含む海水冷却系を津波から保護することが必須となります。JSFRでは原子炉の異常停止後に自然循環に期待することで流量調整機器を必要としないため、非常用交流電源として空冷ガスタービン発電機を採用しています。このため、津波による海水冷却系喪失時にも非常用交流電源を確保し得る利点を有します。さらに、航空機落下により空気冷却器の排気塔が倒壊するような極めて厳しい事象を想定しても、倒壊した排気筒の根元と空気冷却器の伝熱部との高低差による空気の自然循環が期待できるため(図2-4)、崩壊熱除去の継続が可能です。これらの成果を、JSFRをはじめとする第四世代Na冷却高速炉の安全設計要求に適合するプラント概念に反映していきます。

本研究は、経済産業省からの受託事業「発電用新型炉等技術開発」の成果の一部です。



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