2-2 時間・空間的に変動する流れを計測する

−高速炉用超音波流量計の開発−

表2-1 高速炉の原型炉と実用炉の主要な仕様の比較

実用炉は、経済性を向上させるために、熱膨張が少なく、配管の引回しを短縮できる高クロム鋼を使用します。また、出口配管を2ループにするため、流速も速くなります。

表2-1 高速炉の原型炉と実用炉の主要な仕様の比較

 

図2-5 流量計の試験装置

図2-5 流量計の試験装置

時間・空間的に変動する流れへの適用性を検討するために、流量計の設置位置,設置台数を変えて流量の計測を実施しました。

 

図2-6 流量計の設置位置,設置台数に対する計測特性

図2-6 流量計の設置位置,設置台数に対する計測特性

設置台数を4対にすることで設置位置に対する流量出力の依存性が小さくなり、基準流量計による流量と良好な一致を示しました。

 


高速増殖炉サイクル技術の実用化に向けた要素技術開発のひとつとして、冷却材である液体金属ナトリウム の流量計測技術を開発しています。開発要件に対する課題や調査結果を以下に示します。

表2-1に示すように、これまでに開発を進めてきた原型炉「もんじゅ」等、液体金属を使用する高速炉の流量計には、配管材質が非磁性体のステンレス鋼であることから電磁流量計が使用されています。それに対して、実用炉の配管材質は、経済性を向上させるために、配管の引回しを短縮できる高クロム鋼(磁性体)を使用することから、電磁流量計が使用できません。また、システムの簡素化により出口配管を2ループにするため、流速も速くなります。このように、流量計測部の配管の直管部が短く、かつ高流速であることから、従来より時間・空間的に変動が大きい流れの流量を計測することになります。この流動条件と高クロム鋼の配管に適用できる流量計を検討した結果、超音波流量計が最も適していると判断し、その適用性について調査しました。

図2-5に試験装置の概略を示します。試験装置は、実用炉と同程度の流速で水を流すことが可能であり、想定される時間・空間的に変動が大きい流れを模擬することができます。流量計は、熱交換器の出口部の配管A,Bに取り付けますが、流量計で計測される流量は、流量計の設置位置に依存しないことが望まれます。そこで、配管Aを用いて流量計の設置位置並びに設置台数 (複数の流量計で計測された流量を平均化し、時間・空間的に変動する流れに対応)を変えて流量計測を実施しました。

図2-6に試験結果を示します。1対若しくは2対の超音波流量計で計測した場合、流量計の設置位置で出力される流量が変化することが分かります。それに対して流量計を配管周方向に90°間隔で4対設置した場合、流量計の設置位置に対して出力される流量の依存性が小さくなるとともに、基準流量計によって計測した流量と一致することが分かります。この結果より、時間・空間的に変動が大きい流れに対して、超音波流量計が適用できる見通しを得ることができました。

本研究は、エネルギー対策特別会計に基づく文部科学省から三菱FBRシステムズ株式会社への委託事業「高クロム鋼を用いた1次冷却系配管に適用する流量計測システムの開発」の一部として原子力機構が再委託を受けて実施した「信号処理技術の開発」の成果です。



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