3-4 亀裂の透水性を広域的に推定する

−堆積岩を対象とした水理地質学的調査−

図3-12 岩石の脆性度と岩盤の透水性の関係

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図3-12 岩石の脆性度と岩盤の透水性の関係

脆性度が8以下であれば、亀裂(断層)が発達していても岩盤の透水性は低いです。

 

図3-13 地層の分布より推定した岩石の脆性度と亀裂を含む岩盤の透水性

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図3-13 地層の分布より推定した岩石の脆性度と亀裂を含む岩盤の透水性

地層の分布に基づいて岩石の脆性度の分布を求めることにより、亀裂を含む岩盤の透水性を推定することが可能です。

岩盤中の亀裂の透水性は、岩盤中の放射性核種の遅延性能や処分場の設計・施工を検討する上で重要なパラメータであり、処分場の位置等を決定するためには広域的にその分布を推定する必要があります。しかし、岩盤中のすべての亀裂について透水性を実測することは不可能であり、限られたデータからその分布を推定する必要があります。従来、岩盤のうち堆積岩を対象とする場合は、物理探査や層序学を用いた鉱物粒子間の透水性の推定がしばしば行われますが、亀裂の透水性の推定は一般には難しいとされています。

本検討では、堆積岩中の亀裂の透水性を広域的に推定する手法を構築するために、岩石の強度・応力状態と亀裂の透水性との関係性を検討しました。一般に、岩盤変形によって亀裂が形成される際、脆性的な変形が生じる場合は透水性の高い開口亀裂が形成されやすく、延性的な変形が生じる場合は透水性の低い閉口亀裂が形成されることが知られています。生じる変形が脆性的か延性的かは、変形時における岩石の強度・応力状態,変形速度,温度などにより決まります。岩石の強度・応力状態について言及すると、より岩石が柔らかい、若しくは間隙水圧に対して封圧が大きいほど、生じる変形は延性的となります。高レベル放射性廃棄物を処分する深度(地下300 m以深)の場合は、岩石の強度・応力状態が最も感度の高い重要なパラメータとなります。すなわち、亀裂の透水性が岩石の強度・応力状態と密接に関連することが予想されます。

幌延深地層研究センター周辺に分布する堆積岩を対象に地質学的・水理学的・岩盤力学的試験を行った結果、岩石の脆性度が8以下であれば、たとえ亀裂が発達していても岩盤の透水性が低いことを見いだしました(図3-12:ここでは脆性度を岩石の健岩部の一軸圧縮強度÷有効鉛直応力×2と定義)。このしきい値は、弾性論を仮定した変形理論とも整合します。岩石の脆性度は、地層の分布さえ推定できれば広域的に推定することが可能です。図3-13は、幌延深地層研究センター周辺の地層分布に基づいて推定した岩石の脆性度と岩盤の透水性の分布です。このように、堆積岩中の亀裂の透水性を広域的に推定する際には、岩石の脆性度と岩盤の透水性の関係に着目することが有効と考えられます。



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