1-2 事故後初期のヨウ素131沈着量の分布

−初期航空機モニタリングデータを日米共同で開発した解析手法により評価−

図1-4 モニタリングに使った(a)航空機と(b)測定機材

図1-4 モニタリングに使った(a)航空機と(b)測定機材

NaI検出器(5 cm×10 cm×40 cm、3本)を飛行機の後部に搭載し、1秒毎にデータを採取しました。

 

図1-5 スペクトルデータ

図1-5 スペクトルデータ

131Iと134Cs のピーク領域をガウス・フィッティング法で抽出し、131Iと134Csの1秒毎の測定データを求めました。

 

図1-6 <sup>131</sup>Iの沈着量分布の測定結果(2011年4月3日時点)

拡大図(1.07MB)

図1-6 131Iの沈着量分布の測定結果(2011年4月3日時点)

(背景地図は、ArcGISデータコレクションスタンダードパック(ESRI, Co. Ltd.)で作成)
131I濃度の高いエリアが、1Fの北西方向のほかに、南側にも確認されました。

東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故により、様々な放射性物質が広い範囲にわたって拡散されました。私たちは、米国エネルギー省(DOE)が早い段階(2011年3月17日?4月5日)で飛行機に大型NaI検出器を搭載して実施した航空機モニタリング(図1-4)の測定結果をDOEから入手し、エネルギースペクトルの解析を行った結果、短半減期のヨウ素131(131I;半減期:8日)を示すエネルギーのピーク(365 keV)が検出されるものがあったことから、DOEと共同で131Iの地表面沈着量を解析する手法を開発し、131Iの地表面沈着量の分布を求めて、それをマップ化しました。

131Iのエネルギー・ピークが検出でき、バックグラウンド放射線の影響を差し引いて面的な分布が評価できる2011年4月2日と3日に実施した3回のフライト測定に着目し、測定データの中にわずかに含まれる131Iのピークを抽出しました(図1-5)。また、γ線の挙動を解析するモンテカルロ計算コードを用いて131Iに対する検出器の感度特性や地表面から上空までの減弱量を求める手法を開発し、地表面の131Iの沈着量(kBq/m)とピーク計数率の関係式を求めました。

このピークの抽出とモンテカルロ計算による放射線の減弱量の解析の結果、地表面に沈着した131Iの濃度を算出し、マップ化しました。

測定が終了した4月3日時点で評価した131Iの沈着量の解析結果を図1-6に示します。また、半減期が比較的長く、その後実施されたモニタリングでも十分に検出されているセシウム134(134Cs;半減期:2年)についても、比較のために131Iと同様の手法を用いて解析を行いました。解析の結果、放射性セシウムと同様に1Fの北西方向に高い濃度の131Iの沈着が認められました。また、1F付近では131Iが南側にも広がっている傾向が見られました。

さらに、解析手法の妥当性を検証するため、文部科学省原子力災害対策支援本部(当時)が実施した土壌データ(2011年6月14日)と今回の解析結果を半減期補正して比較しました。その結果、地上で測定した131I,134Csの沈着量は本航空機モニタリングの結果と良く一致しており、本手法の妥当性が確認されました。131Iの地上データは少なかったのですが、今回開発した手法により、131Iの詳細な分布が明らかになりました。



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