6-2 プルトニウムの効率的な燃焼と核拡散抵抗性の両立

−プルトニウム燃焼高温ガス炉システムの概念検討−

図6-4 再処理施設におけるPuのフロー

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図6-4 再処理施設におけるPuのフロー

再処理施設で回収されるPu硝酸溶液を直接、燃料製造工程に送ることで、現行再処理施設の脱硝工程及び貯蔵施設を省くことができます。

 

図6-5 再処理施設の核拡散抵抗性の評価

図6-5 再処理施設の核拡散抵抗性の評価

提案する再処理施設は、核拡散抵抗性が0.28で現行施設に比べて高く、U/Pu分配工程出口を起点とするPuの滞在時間も短いことから、核拡散抵抗性に優れるといえます。

軽水炉の使用済燃料から回収したプルトニウム(Pu)のうち、長期間にわたり核拡散抵抗性の観点から問題となる239Puを効率良く燃焼できるPu燃焼高温ガス炉システムの研究を進めています。我が国の再処理施設では、Puが単体で存在することによる核拡散抵抗性の低下を防ぐため、使用済燃料から回収したPuはウラン(U)と混合して脱硝工程に送り、その後U/Pu混合酸化物燃料(MOX燃料)に加工します。MOX燃料の場合、Uから新たにPuが生成するため、Puを効率良く燃焼するには、再処理施設の核拡散抵抗性を低下させることなくUを含まないPu燃料を製造することが課題でした。提案する再処理施設(図6-4)では、Puに化学的に不活性なYSZ(イットリア安定化ジルコニア)を混合し、その硝酸溶液をPu燃焼高温ガス炉の燃料であるPuO-YSZ被覆粒子燃料の製造工程に直接送ります。米国AFCI(Advanced Fuel Cycle Initiative)の評価手法により、提案する再処理施設は現行再処理施設に比べて核拡散抵抗性に優れることを示しました(図6-5)。また、PuO-YSZ被覆粒子燃料の製造は、U硝酸溶液を用いるHTTR燃料(UO被覆粒子燃料)の製造技術を利用できるため、大きな技術開発なしに実現可能です。

PuO-YSZ被覆粒子燃料はPuO-YSZ燃料核(直径約0.5 mm)を熱分解炭素及び炭化ケイ素で四重に被覆したものです。YSZを燃料母材に用いるため、燃料の製造,運転,処分のすべての状況においてPuの回収は極めて困難です。したがって、PuO-YSZ被覆粒子燃料は核拡散抵抗性に優れた燃料です。また、直接処分時の使用済YSZ母材燃料から地下水への核分裂生成物(FP)浸出率は、ガラス固化体として処分する場合の1/100以下と報告されています。したがって、PuO-YSZ燃料は直接処分時の安全性にも優れています。

熱出力600 MWtの実用規模のPu燃焼高温ガス炉について、炉心燃焼解析を行って239Puをどの程度燃焼できるか検討しました。その結果、燃焼に応じて炉内の燃料配置を適切に変更することにより、239Puの95%を燃焼できることが分かりました。今後は、燃料,制御棒,可燃性毒物の最適な炉心配置の検討及び超高燃焼(500 GWd/t程度)が可能なPuO-YSZ被覆粒子燃料の設計を進める予定です。



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