9-4 核融合炉条件を作り出す強力中性子源の建設に向けて

−リチウム施設の工学実証研究と工学設計の構築−

図9-10 IFMIFのLi施設の工学実証と工学設計活動の内容

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図9-10 IFMIFのLi施設の工学実証と工学設計活動の内容

Li施設の工学実証としてプロトタイプのLi試験ループの建設と運転及び試験などの実証試験を実施し、これを基にIFMIFの中間工学設計書を作成しました。

 

図9-11 自由表面を持つ高速Li流(左)と流路(右)

図9-11 自由表面を持つ高速Li流(左)と流路(右)

Li試験ループの最重要な実証試験として1/2.6スケール(横幅100 mm,厚み25 mm)の安定した高速Li流を示したものです。(真空中(約370 Pa)で250 ℃)

 

図9-12 ファイバーレーザによる溶接と切断の実証

図9-12 ファイバーレーザによる溶接と切断の実証

大阪大学接合研との協力下で、ファイバーレーザによる溶接の実証試験を実施した様子です。この時のレーザの出力は5 kWで、溶接速度は毎分3 mで制御しました。

核融合炉では、核融合反応(D-T反応)により生成した14 MeV中性子によって材料中では弾き出し損傷や核変換生成物(HやHe等)により、材料の照射硬化や照射脆化などの現象が生じます。現在、建設が進められている国際熱核融合実験炉(ITER)による材料への中性子照射量は原型炉目標の数%以下のため、原型炉の材料開発の評価には十分ではありません。このため、核融合原型炉の材料開発には、国際核融合材料照射施設(IFMIF)のような高強度の14 MeV中性子相当の照射環境場で、材料やコンポーネント等の照射量依存性評価が不可欠です。

IFMIFでは40 MeV,125 mAの2本の重陽子ビーム(形状: 横幅200 mm,縦幅50 mm)を、真空中(約10-3 Pa)で自由表面を持つ250 ℃の液体リチウム(Li)ターゲット(横幅260 mm, 厚み25 mm)に入射させ、中性子を発生させるシステムです。現在、IFMIFの工学実証・工学設計活動(EVEDA)が、日欧協力のもと幅広いアプローチ活動のひとつとして実施されています。

私たちは、図9-10に示すようなIFMIFのLi施設の工学実証試験の課題評価とその工学設計を実施しています。この中でIFMIFのLi施設のプロトタイプである世界最大の流量(3000 L/min)を持つEVEDA Li試験ループを建設・運転し、IFMIFの建設などの判断に必要になるLi施設の工学実証試験データの取得を積み重ねているところです。この高速Li流の評価においては、図9-11に示すようなビデオカメラによる高速観察法や、開発を進めてきた非接触型のレーザー波高計測器による計測によって正圧だけでなく、負圧においても安定した流れを形成することが分かりました。また、遠隔操作系技術の工学実証試験として、Li施設の構成要素であるターゲットアセンブリと呼ばれる機器の交換方法に対して、ファイバーレーザを利用した切断と溶接の適用性試験(図9-12)を実施し、良好な結果を得ています。そして、これらの工学実証試験を基にして、IFMIF施設全体として約6500ページにも及ぶ中間工学設計書を2013年度に作成しました。



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