8-9 海抜マイナス1000メートルの世界を覗く

−日本列島の地下地質図−

図8-22 日本列島の地下地質図
拡大図(349KB)

図8-22 日本列島の地下地質図

日本列島の(a) 海抜0 mレベル,(b) 海抜 −500 mレベル,(c) 海抜 −1000 mレベルの水平地質断面図です。大深度地下利用を考える上では、重要な情報ですが、全国レベルの水平地質断面図の作成は、日本では前例がありません。

 


日本列島の地表から地下における岩石の分布や地質構造を全国規模で把握することは、放射性廃棄物の地層処分や二酸化炭素の地中貯留等の大深度地下利用を考える上では必要不可欠と言えるほどに重要な情報です。

日本列島における地下地質の情報は、既存の地質図に添えられている鉛直地質断面図が一般的であり、作成に必要となる膨大な量のデータ収集,収集したデータの整理にかかわる困難さから、これまで全国レベルの水平地質断面図(以下、地下地質図)として取りまとめられた例はありません。私たちは、既存の地質図,地質断面図,ボーリング資料などの地下地質情報を用いて、日本列島の海抜0 m, −500 m, −1000 mレベルの地下地質図を作成しました(図8-22)。

これらの地下地質図の作成に際して、収集したボーリング資料は291本です。そのボーリンク孔の分布は地域的な偏りが大きいのが現状です。また作成に際して、花崗岩類の岩体や地質構造線等は鉛直に連続するものと仮定しています。そのため、これらの地下地質図は個々の地点を対象にした詳細な地質状況の議論ができるほどの精度はありませんが、全国レベルの大深度の地下地質の概略把握に適しています。

ここで示した地下地質図の区分については、地質学の分野で一般的に行われている区分を踏襲したものですが、大深度地下利用等の使用目的によっては区分を変更した表示を行うことも可能です。例えば、地層処分では、「堆積岩」と「結晶質岩」の二つの岩種に区分されることが多いので、凡例の区分をこの二つにまとめて表示することによって、日本列島における「堆積岩」と「結晶質岩」の三次元的な分布やその広がりを視覚的に認識することが可能となります。

今後、近年得られている地下地質情報を活用することによって、これらの地下地質図の精度は向上するものと期待されます。



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