4-12 高レベル廃液から有用レアメタルを回収

−回収が難しいロジウムをイオン交換樹脂により分離−

図4-24 両性イオン交換樹脂AMP03の分子構造

図4-24 両性イオン交換樹脂AMP03の分子構造

イオン交換性を有する官能基が架橋ポリスチレンに化学結合した構造を有します。官能基の中に正電荷と負電荷を有する両性イオン交換樹脂です。構造中にP,Sなどの使用後の焼却処理によって固体として残る成分がなく、分離プロセスからの二次廃棄物発生量の抑制の点でも優れています。

 

図4-25 AMP03によるイオン吸着特性

図4-25 AMP03によるイオン吸着特性

硝酸水溶液中の各イオンの抽出率(A.R., %)を示しました。特に初期硝酸濃度0.1 mol/L程度では、Rh(III)イオンを非常に選択的に吸着する性能を有します。

 

図4-26 AMP03によるRh(III)の吸着特性

図4-26 AMP03によるRh(III)の吸着特性

硝酸水溶液中にトリエチルアミン(TEA)を共存させた条件において、Rh(III)イオンの吸着性能を確認しました。全ての硝酸濃度条件において、TEAの添加がRh(III)吸着の促進に有効であることを示しています。

 


再処理工場においてウラン(U)及びプルトニウム(Pu)を回収した後に発生する高レベル廃液には非常に多くの種類の元素が含まれ、その中にはレアメタルとして有用な元素も存在します。価格が高く産業利用において不可欠な元素が、高レベル廃液から利用可能な形態で回収できれば、資源戦略上の価値が高いと考えられます。こういった元素として白金族元素があり、高レベル廃液にはパラジウム(Pd),ロジウム(Rh),ルテニウム(Ru)が含まれ、これらは自動車の排ガス処理の触媒として必要不可欠なものとして知られています。これらのうち、Rhは高レベル廃液に0.01〜0.3 mmol/L含まれています。高レベル廃液中のRhは、半減期2.9年の102Rhと半減期0.57年の102mRhが含まれていますが、大部分は安定同位体の103Rhです。高レベル廃液からの有用金属の回収を検討する場合には放射性同位体の存在が問題となりますが、Rhは長半減期の放射性同位体が存在せず、適切な期間、保管することによって短半減期の放射性同位体が減衰して安定同位体のみとなり、十分な純度で分離することで産業利用が可能となります。

高レベル廃液は硝酸溶液であり、その濃度は高く、このような条件において有効にRhを分離できる抽出剤や吸着剤は知られていませんでした。また、高レベル廃液からの分離回収プロセスを検討する場合には、分離の過程で生じる二次廃棄物の低減も考慮する必要があります。私たちは、従来、糖類の脱塩などに利用されていた両性イオン交換樹脂の一つであるAMP03が、このような条件においてRhを有効に分離回収可能であることを見いだしました。このイオン交換樹脂の基本構造を図4-24に示します。正電荷と負電荷を持つ官能基が架橋ポリスチレンに化学結合で固定された構造を有しています。また、構成元素に分解処理した後に固体廃棄物となるリン(P)や硫黄(S)が含まれません。したがって、使用後は焼却処理して完全にガス化することが可能であり、処理プロセスからの二次廃棄物の発生量は最小限となります。図4-25に硝酸濃度と各元素の吸着率を示します。Rhの吸着に高い選択性を有しています。また図4-26のように、廃液にトリエチルアミン(TEA)を添加することで、Rhの吸着を著しく促進させる効果を見いだしました。

今後、高レベル廃液のより合理的な処理法を目指し、これらの知見を基に研究を進めていきます。



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