6-5 HTTRによる水素・電力コジェネレーション技術の確証

−運転方法の確証が可能なヘリウムガスタービンを提案−

 図6-10 HTTR-GT/H2プラントとヘリウムガスタービンの構成
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図6-10 HTTR-GT/H2プラントとヘリウムガスタービンの構成

(a)にHTTR-GT/Hプラントとヘリウムガスタービンの構成を示します。(b)発電機軸両端への同じ仕様のタービンや圧縮機の対称配置によりサイクル圧力比向上を可能とし、(c) 1基あたりのタービンでの膨張圧力幅をあえて小さくしてタービン高効率運転を可能とすることで運転制御技術の確証試験実施を可能としました。

 


高温ガス炉は優れた安全性のみならず、高温熱供給が可能であることから、私たちは高温ガス炉から取り出される核熱を用いた高効率で、二酸化炭素を排出しない水素・電力コジェネレーションの実用化を目指した研究を進めています。

高温ガス炉水素・電力コジェネレーションシステムの実用化には、高温ガス炉やヘリウムガスタービンの特徴を考慮した運転制御技術の確立が必要です。具体的には、私たちが提案する@系統圧力調整による発電機負荷喪失時のタービン回転数維持法,A圧縮機出口低温ヘリウム導入による水素製造施設異常時のタービン入口温度維持法,B系統圧力調整による大規模外部動力を不要とする起動停止法の確立が求められます。そこで、HTTRにヘリウムガスタービンや水素製造施設から構成される熱利用システムを接続したHTTR-GT/H2プラントを建設して、運転制御技術の確証試験実施を計画しています。

HTTR-GT/H2プラント設計にあたっては、改造コスト削減のためHTTR既設設備の改造や移設を最小限としつつ、運転制御技術の確証試験を可能とすることが要求されます。そこで、熱利用システムは2次系に設置しつつ、高温ガス炉水素・電力コジェネレーションシステムの実用炉と同様に水素製造施設に熱供給を行う第2中間熱交換器とヘリウムガスタービンをカスケード配置としました(図6-10(a))。また、制御特性確認に必要なプラント過渡挙動観測を可能とするヘリウムガスタービンを提案しました。具体的には、発電機軸の両端に同じ仕様のタービンや圧縮機を対称配置させ、軸に加わるねじりトルク発生を防止することで軸振動を抑制し、サイクル圧力比の向上を可能としました(図6-10(b))。また、安定して効率の高い条件で運転するため、1基あたりのタービンでの膨張圧力幅をあえて小さくすることでタービン強度上の回転数制限を満足しながら90%近い効率での運転を可能としつつ、排熱を利用することで発電及び水素製造量の最大化を図りました(図6-10(a),(c))。

これらの設計提案に基づきHTTR-GT/H2プラントの熱物質収支評価や機器メーカーによる製作性評価を行った結果、サイクル圧力比1.3以上で電気出力1 MWe、水素製造量30 Nm3/h規模の水素・電力コジェネレーションが成立し、従来課題とされていた実用高温ガス炉にはない再生熱交換器出口とタービン入口間のバイパス流れ削減が達成され、運転制御技術の確証に必要な発電機負荷喪失試験や水素製造施設異常模擬試験、起動停止模擬試験等がHTTR-GT/H2プラントで実施できることを確認しました。

今後は、HTTRによる水素・電力コジェネレーション技術の確証に向けて、HTTR-GT/H2プラントの機器設計や安全評価を進める予定です。



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