11-2 遠隔監視システムで情報交換、公明正大に核物質を利用する

−核物質利用における透明性向上のための遠隔監視システム技術開発−

図11-4 「常陽」遠隔監視システム構成
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図11-4 「常陽」遠隔監視システム構成

「常陽」新燃料室入口が開かれたことがセンサーで検知されると、室内に設置されたカメラがある一定時間撮影します。また画像が変化した場合も撮影を行います。画像データはデータ収集用コンピュータに収録された後、イントラネット経由でデータ保管用サーバーに蓄えられる。このデータはVPN(Virtual Private Network)で結ばれた外部コンピュータにインターネットを通して伝送され、レビューされます。

図11-5 遠隔監視システムネットワーク構想案

図11-5 遠隔監視システムネットワーク構想案

「常陽」と米国、韓国などの原子力施設との間で相互に「遠隔監視システム」を利用して、情報交換を行うことで、原子力活動の透明性を向上させ、信頼性醸成に役立てることを関係機関・研究所と検討し、実現に向けて協議を行っています。

核不拡散に関する懸案として、インド・パキスタンにおける核兵器開発、北朝鮮の核開発問題とイランのウラン濃縮開発にかかわる問題などがあり、いずれも国際政治の場で関係国間での調整・交渉が続けられている状況にあります。このような状況下で、原子力の平和利用・研究開発を進めていくためには、核物質の計量管理・保障措置に関する国内及び国際的な規範・制度を遵守するだけではなく、更に原子力活動、特に核物質利用に関する活動についてその透明性を向上し、また国際的にも信頼性を得ることが必要となってきています。

私たちは、核物質利用及びそれに関連する活動の情報から、核物質が平和目的にのみ利用されていることの信頼を更に得ることを目標として、そのためのデータ収集・評価解析の技術の開発を進めています。

具体的な透明性向上の手段として、私たちは 1995年から高速実験炉「常陽」において、使用済燃料貯蔵プールエリア及び新燃料貯蔵室エリアに、モーションセンサー (マイクロ波、光センサー)、中性子及びガンマ線検出器、監視カメラ、データ収集装置を設置して、核物質(燃料集合体)の移動・貯蔵、それに伴う人の出入り、作業などをモニターするシステムを設け、その実証試験を行ってきました。

またソフトウェアに関しては、コンピュータにて自動的にデータ解析・評価を行い、想定されない動きを検知した場合にはアラームを表示するなど、客観的で的確に解析・評価が行えるようなサポートシステムを構築しました。

これらの技術を透明性向上・信頼醸成に役立てるため、システムの簡素化、標準化を図る一方、二国間あるいは多国間で遠隔監視システムによって相互に施設の情報交換を行うことを検討してきています。

現在米国及び韓国、日本での施設間で情報交換を実施することを念頭において、関係者間での技術情報交換を行うとともに、透明性向上・信頼醸成への取り組み方についても相互での検討を進めています。


●参考文献
Olsen, J., Hori, M., Hashimoto, Y. et al., Regional Cooperation in Remote Monitoring for Nuclear Nonproliferation and Transparency, Proceedings of the 46th Annual Meeting of the Institute of Nuclear Materials Management (INMM), Phoenix, USA, 2005.


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