トップページ未来を拓く原子力2006>1 次世代原子力システム研究開発>1-1

1 次世代原子力システム研究開発

1-1 高速増殖炉サイクル実用化に向けて

図1-1 2050 年以降軽水炉をFBRへリプレースした場合の我が国の天然ウラン累積需要量の予想

図1-1 2050 年以降軽水炉をFBRへリプレースした
場合の我が国の天然ウラン累積需要量の予想

 

図1-2 高速増殖炉実用化戦略調査研究の展開
拡大図(158KB)

図1-2 高速増殖炉実用化戦略調査研究の展開

 

図1-3 今後、重点的に研究開発を進めるナトリウム冷却炉のイメージ図
拡大図(210KB)

図1-3 今後、重点的に研究開発を進めるナトリウム冷却炉のイメージ図

 

図1-4 高速増殖炉サイクル技術の段階的研究開
拡大図(298KB)

図1-4 高速増殖炉サイクル技術の段階的研究開発


高速増殖炉システムは軽水炉に比べ、1回の核分裂によって発生する中性子の数が多く、これらの中性子を炉心燃料の7割以上を占めるウラン238に捕獲させ、プルトニウム239に変換させる割合が軽水炉より大きいため、消費した燃料以上の燃料を生産すること(燃料の増殖)が可能です。このため、図1-1に示すとおり、我が国においては、2050年以降、軽水炉のリプレースとして高速増殖炉を本格的に導入していけば、22世紀には、天然ウランの海外からの調達は不要となる可能性があります。

また、炉心の中性子エネルギーが高いため、軽水炉では燃えにくいマイナーアクチニド(アメリシウム、キュリウム及びネプツニウムの3つの元素の総称)を核分裂させることができるため、高レベル放射性廃棄物中に長期に残留する放射能量を少なくし、単位発生エネルギー 当たりの環境負荷を有意に低減できる可能性があります。

私たちは高速増殖原型炉「もんじゅ」などの研究開発成果を踏まえて、高速増殖炉実用化に向けた「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」を電気事業者、電力中央研究所、メーカー各社の参画を得て実施しています。その目的は高速増殖炉サイクルの適切な実用化像とそこに至るまでの研究開発計画を2015年頃に提示することであります。図1-2に示すとおり、2006年3月にフェーズIIの最終報告書がまとまり、現在、国による評価を受けておりますが、2006年10月に最終取りまとめが行われる予定です。以下にフェーズII最終報告書の概要を中心に説明いたします。

多様な原子炉システム及び燃料サイクルシステムについて革新技術を取り入れた概念を創出すると共にシステムを構成する要素技術を開発しました。有望な原子炉システム及び燃料サイクルシステムを技術的に整合するように組み合わせた高速増殖炉サイクル全体の概念について、安全性、経済性、環境負荷低減性、資源有効利用性、核拡散抵抗性の5つの開発目標への適合可能性、技術的実現性などの観点から総合的に評価し、重点的に研究開発を進める概念を選定しました。

今後、重点的に研究開発を行う有望な高速増殖炉サイクル概念としては開発目標への適合可能性に最も優れ、これまでの開発実績及び今後の国際協力の可能性から技術的実現性の高い概念であるナトリウム冷却炉(MOX燃料)・先進湿式法再処理・簡素化ペレット燃料製造法(図1-3及びトピックス1-5参照)を選定しました。補完的に開発を進めていく選択肢としては、ナトリウム冷却炉 (金属燃料) ・金属電解法再処理 ・射出鋳造法燃料製造法、ヘリウムガス冷却炉(窒化物粒子燃料)・先進湿式法再処理・被覆粒子燃料製造法を選定し、これらについて技術的実現性の観点から重要な課題を中心に進めることが適切と考えました。

図1-4に今後の研究開発計画を示します。革新技術の成立性を評価するため要素試験研究を実施し、採用する革新技術を決定すると共に、プラント全体の概念設計研究、最適化研究を行い、高速増殖炉サイクルの実用化像とそこに至るまでの研究開発計画を2015年頃に提示することとしています。

高速増殖炉サイクルの商業ベースでの本格導入にあたっては、多くの革新技術を含んだ中・大型の商用施設の建設・運転に直ちに進むことはリスクが大きく困難なため、図1-4に示すように、施設・機器の規模を段階的にスケールアップさせ、開発目標への適合性や革新技術の実現性・信頼性を検証していく必要があると考えています。



| | | | |