1-11 高速増殖原型炉「もんじゅ」の再開に向けて

−臨界試験から起動試験(40%出力)までの性能試験から−

図1-27 「もんじゅ」冷却系系統図

図1-27 「もんじゅ」冷却系系統図

原子炉で発生した熱は1次主冷却系から2次主冷却系へと伝達され、蒸発器、過熱器で発生させた蒸気によってタービンを駆動して発電を行うしくみとなっています。1次主冷却系と2次主冷却系の冷却材として液体の金属ナトリウムが使われています。

1-28 図1-28 タービントリップ時のプラントの温度・流量の過渡変化

図1-28 タービントリップ時のプラントの温度・流量の過渡変化

原子力プラントの設計においては、事故や異常を想定した場合の冷却材温度、流量等の過渡変化について数値解析(プラント動特性解析)を行い設計の妥当性を評価します。このような実機データは、解析手法の高度化など後続プラントの設計への貢献も期待されます。

高速増殖原型炉「もんじゅ」の性能試験は、1995年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため、現在中断しておりますが、このほど2005年7月に、これまで適宜原子力学会等で公表してきた性能試験の個別試験項目ごとの成果を取りまとめ公開しました。

ここでは誌面の都合から、性能試験の最終段階に当たる起動試験のうち、「プラントトリップ時特性評価(タービン)」の結果を紹介します。

この試験はプラントが電気出力40%で安定に運転している状態から、復水器真空度の異常を示す模擬信号を入力することによりタービンをトリップ(非常停止)させ、所定のインタロックに従いプラント全体が安全に自動停止することを確認したものです。併せてこの時の設備動作の確認やプロセス量の変化を測定することにより、プラント挙動を総合的に確認しました。

試験の結果、所定のインタロックが動作し、プラントが安全に自動停止することを、設備動作、警報発報、プラント過渡変化から確認することができました。

また、トリップに伴うプラントの挙動について、詳細なデータを得ることができました。

図1-27に「もんじゅ」の系統図を、図1-28に試験時の次・2次系の温度、流量など主要なプロセス量の過渡変化を示します。プラントトリップと同時に、冷却材の循環ポンプが主モータから補助モータ(ポニーモータ)による低速運転に切り替わるため、1次・2次主冷却系Na流量はそれぞれ減少しますが、その速さの違いから、中間熱交換器1次側出口Na温度及び原子炉入口Na温度が一時的に低下しています。その後、1次・2次系はほぼ同じ流量となることから、温度は回復します。一方、中間熱交換器2次側入口Na温度は、トリップ前の補助冷却設備内の温度の高いNaが輸送されてくるため、一時的に上昇しています。

このような実機の試験データは、「もんじゅ」自身の性能確認、これまでの「もんじゅ」に関わる研究開発の総括を行うために必要であることはもちろん、プラントの動特性解析手法の高度化等を通じて、将来炉の設計にも貢献することができます。「もんじゅ」は現在ナトリウム漏えい対策工事等を実施中で、その後の工事確認試験、プラント確認試験を経て性能試験を再開する計画ですが、実施にあたっては、前回試験の経験を活用しながら、一歩一歩着実に進め、このような貴重なデータを取得してまいります。


●参考文献
宮川明ほか, 高速増殖原型炉もんじゅ性能試験報告書<臨界試験〜起動試験(40%出力)>, 2005, JNC TN2410 2005-002, p.267-270.


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