1-17 照射済燃料集合体の内部を透視する

−高エネルギーX線CTを利用した非破壊検査技術の開発−

図1-43 X線CTシステム概略図

図1-43 X線CTシステム概略図

X線源から発生した高エネルギーX線は、試料(照射済燃料集合体)の前に設置されたコリメータにより絞り込まれます。試料を透過したX線は、再度コリメータを通過し検出器によってその強度が測定されます。

図1-44 照射済燃料集合体のX線CT画像

図1-44 照射済燃料集合体のX線CT画像

「常陽」で照射した燃料集合体のX線CT画像から、燃料ピンが整然と配置されていることが確認できます。

図1-45 燃料ピンの変位挙動

 

図1-45 燃料ピンの変位挙動

集合体に装荷された状態での燃料ピンの変位量軸方向分布を示したものです。炉心燃料部の変位量が大きいことが分かります。

経済性・信頼性に優れた高速炉の燃料・材料を開発するためには、実際に原子炉で照射された燃料等の性能を確認しつつ進めることが重要です。大洗研究開発センター照射燃料集合体試験施設では、高速実験炉「常陽」等で照射された燃料集合体を受け入れ、非破壊での照射後試験(以下PIE)を主に行っています。その中心となるのが、燃料集合体の内部観察を目的としたX線コンピュータートモグラフィー(以下X線CT)試験です。

本試験では、医学の分野で発達したX線コンピュータ断層撮影技術を照射済燃料集合体の非破壊試験に適用し、新しい照射後試験技術として確立しました(図1-43)。この技術を照射後試験に適用するのは、世界でも初めての試みとなります。

本試験装置では、照射済燃料集合体からのγ線放出の影響を低減するため、高出力高エネルギーX線発生源を採用しました。更に、X線発生源が短いパルス状のX線を発生できることに着目し、それと同期したX線検出システムを採用し、検出器の素材として高エネルギー領域で高感度なタングステン酸カドミウムを採用しました。

この結果、 図1-44に示すように高燃焼度まで照射した高速炉用燃料集合体でも鮮明なX線CT画像を得ることに成功しました。また得られた画像を解析することにより、これまで測定できなかった照射済燃料集合体内での燃料ピン等の配置状況や冷却材流路断面積が実験的に測定可能となりました。

図1-45には燃料ピン全域における正規配列からの変位量の軸方向分布を示します。図から、炉心燃料部において変位量が大きいことが確認されます。これは、炉心燃料部では照射クリープによって変形が進んだものと考えられます。今後、これらのデータを利用し、温度評価への反映等が期待されます。


●参考文献
Katsuyama, K. et al., Application of High-energy X-ray Computer Tomography Technique for Checking Irradiated Nuclear Fuel, Proceedings of 4th World Congress on Industrial Process Tomography, Aizu, Japan, 2005.


| | | | |