1-7 厄介なMAを高速炉燃料とする遠隔燃料製造技術を確立

−アメリシウム含有MOX燃料の製造技術開発−

図1-16(左上) AGFにおける遠隔燃料製造設備の概要
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図1-16(左上) AGFにおける遠隔燃料製造設備の概要

AGFでは、約1mの遮へい厚を有するホットセル内にペレット製造装置及びピン加工検査設備が配置されています。遠隔操作にてペレット製造から照射用燃料ピンの製作が可能です。

 

図1-17 ホットセルにおける燃料製造プロセス

図1-17 ホットセルにおける燃料製造プロセス

燃料ペレットから照射用燃料ピン製作までの流れを表しています。

 

図1-18(左下) Am-MOXペレットの焼結条件の最適化
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図1-18(左下) Am-MOXペレットの焼結条件の最適化

ペレット焼結時の加湿等の条件を最適化することにより、高密度で均質なペレットを作製することが可能です。

大洗研究開発センター照射燃料試験施設(AGF)では、高速増殖炉(FBR)サイクルの実用化概念の一つとして、環境負荷低減等において有望視されている低除染TRU燃料の製造技術開発を進めています。これまで当施設では、高線量なマイナーアクチニド(MA)核種であるアメリシウム(Am)を対象としたAm含有プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(Am-MOX)ペレットの製造及び 「常陽」照射試験に供するための照射用燃料ピンの製作を通じて、小規模施設での遠隔燃料製造を実証しました。

AGFにおける設備の概要、特徴及び製造プロセス試験内容については以下のとおりです。

1メートル厚のコンクリート遮へい壁で囲まれ気密性を有する3つのインナーボックス内と一つのβ−γセル内に燃料ペレットを製造するためのペレット製造設備 (粉末供給装置、粉砕混合機、油圧プレス機、焼結炉、ペレット寸法密度検査装置等)が配置されています。また、ペレット等をステンレス鋼被覆管に充填・溶接密封し、「常陽」照射用燃料要素に組み上げるためのピン加工検査設備(ペレット充填装置、溶接装置、非破壊検査装置等)が設置されています。図1-16に当該設備の概要を図1-17に製造プロセスを示します。

これら試験装置の運転は、マニプレータを用いてオペレータが遠隔により実施するため、操作性に対する工夫が各所に施されており、高線量のMA核種、核分裂生成物(FP)などを含む燃料を全遠隔操作により製造することができ、世界でも類を見ない試験設備です。

UO2取扱い試験にてペレット約200個を作製し、燃料製造設備の遠隔操作性に問題なく、小規模ながらセル内での遠隔燃料製造が技術的に可能であることを確認しています。

Am-MOX試験では、ペレット中にAmの含有量が増えるとペレット内の微小クラック及びポアの発生による低密度化や焼結不足が確認されたため、焼結時の昇温・降温速度や雰囲気ガスの水分加湿などにより焼結条件の最適化(図1-18)を図り、高密度で安定な組織を有したペレットを製造可能とする技術を確立しました。

これまでに、「常陽」短期照射試験用Am-MOX燃料ピン3本(Am含有率最大5%)と同仕様の長期照射試験用燃料ピン2本を製造しました。これらの技術は、今後のCm含有燃料、FP含有燃料の製造技術開発にも反映することが期待されます。


●参考文献
Yoshimochi, H. et al., Fabrication Technology for MOX Fuel Containing AmO2 by an In-cell Remote Process, Journal of Nuclear and Technology, vol.41, no.8, 2004, p.850-856.


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