5-10 使用済み核燃料の安全で効率的な臨界安全性管理

−燃焼度クレジット導入用計算コード・データベース開発−

図5-21 使用済燃料同位体組成データベース SFCOMPO

図5-21 使用済燃料同位体組成データベース SFCOMPO

本研究で開発した核燃料同位体組成データベース SFCOMPOは、核燃料同位体組成測定データの入手と評価の国際的な展開に資するため、OECD/NEAにて運用管理されています。

図5-22 SWATにより評価された147、148Nd中性子捕獲反応が148Nd 量に与える影響(参考文献より引用)

図5-22 SWATにより評価された147、148Nd中性子捕獲反応が148Nd 量に与える影響(参考文献より引用)

使用済燃料の燃焼度は燃料中の148Ndの量を計ることで測定されますが、この図は148Ndの量が、それ自身と147Ndの中性子捕獲反応の影響で変化することを示し、今後の燃焼計算コードの精度評価において、その影響の定量的評価を可能としました。

核燃料を扱う施設で最も重要な安全管理上の問題の一つは、燃料が炉心外で臨界にならないようにすることです。通常核燃料は燃焼に伴い中性子増倍率が低下するので、臨界安全管理の観点からは新燃料に比較すると単位面積あたりに装荷できる使用済燃料集合体数は多くなります。しかしながら、核燃料の再処理を除く従来の使用済燃料を扱う施設の臨界安全評価では、燃焼燃料ではなく新燃料を想定して解析をしてきました。これは新燃料を仮定した方が安全側かつ解析が簡易であるためと考えられます。しかし、この仮定のままでは過大な安全裕度のために経済的なデメリットは大きく、例えば現在より初期濃縮度の高い燃料の場合には、1回の輸送で運べる使用済燃料の数や貯蔵施設で保管できる燃料の体数が大幅に減少します。

そのため私たちは、燃焼燃料の臨界安全評価を行う場合に燃料の燃焼に伴う中性子増倍率の低下を考慮すること、すなわち燃焼度クレジット導入に必要な安全解析に対応する技術開発を行っています。

燃焼度クレジットでは燃焼燃料の組成を精度良く求めることが重要であり、高精度な燃焼燃料組成の計算を可能とする統合化燃焼計算コードシステムSWATを開発しました。SWATは、現在私たちが開発している燃焼計算から臨界安全評価を一貫して行う統合臨界安全評価コードシステムの中核となるものです。また、SWATを含む燃焼計算コードの精度評価に必要となる実測データを整理・収納した使用済燃料同位体組成データベースSFCOMPOを開発し、OECD/NEAを通じて世界中の研究者にデータを提供しました(図5-21 URLはhttp://www.nea.fr/html/science/wpncs/sfcompo/)。

また、SWATを用いて、燃焼度の指標となる同位体「ネオジム(Nd)−148」の量が中性子捕獲反応によって増減することに起因する燃焼度測定誤差の詳細検討も行い、燃焼計算コードの詳細な精度評価を可能としました(図5-22)。

これらを含めて、我が国における燃焼度クレジット導入に必要な計算コード作成から評価用実験データの入手や配布までを一貫して展開し、得られた成果は、原子力機構内だけでなく国内外の炉メーカや原子力安全基盤機構でも利用されています。


●参考文献
Suyama, K. et al., Effect of Neutron Induced Reactions of Neodymium-147 and 148 on Burnup Evaluation, Journal of Nuclear Science and Technology. vol.42, no.7, 2005, p.661-669.


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