7-4 乾式再処理工程から再び窒化物燃料を製造する

−液体陰極に回収したプルトニウムの再窒化技術開発−

図7-10 電解精製後の液体カドミウム陰極

図7-10 電解精製後の液体カドミウム陰極

窒化物燃料の乾式再処理では、電解精製によって核分裂生成物と分離したアクチノイドを液体カドミウム陰極に回収します。

図7-11 蒸留窒化反応後に回収したプルトニウム窒化物粉末

図7-11 蒸留窒化反応後に回収したプルトニウム窒化物粉末

一連の試験は不活性雰囲気グローブボックス内で行っています。

図7-12 蒸留窒化反応の進行に伴うX線回折パターンの変化

図7-12 蒸留窒化反応の進行に伴うX線回折パターンの変化

反応開始直後はCd相が第1相ですが、蒸留が進むと共に、窒素ガスとPuCdの反応でPuNが生成し始め、6時間経過後にはほぼ単相のPuNが同定されています。

私たちは、高レベル廃棄物の超長期にわたる放射性毒性を低減すると共に効率的な地層処分を実現することを目的として、加速器駆動システム(Accelerator Driven System, ADS)を用いた分離変換技術の研究開発を進めています。ADSの燃料にはマイナーアクチノイド(MA)を高濃度で含有できる窒化物燃料を、再処理には高放射能、高発熱性の使用済燃料処理に適した乾式法を提案しています。乾式再処理では溶融塩電解精製によって核分裂生成物と分離したアクチノイドを液体カドミウム(Cd)陰極に回収しますが、燃料製造のためには回収したアクチノイドを再窒化する必要があります。

本研究では、蒸留窒化反応と名付けた方法を用いて、液体Cd陰極に回収したプルトニウム(Pu)(図7-10)の再窒化技術を開発しました。具体的にはPuを回収した後のCd陰極を窒素ガス気流中、700℃に加熱することにより、高純度のプルトニウム窒化物(PuN)粉末を回収することに成功しました(図7-11)。この方法の特徴は、Cd陰極中のPuの窒化とCdの蒸留を同一工程で行うことができる点にあります。液体Cd中に溶解しているPuは熱力学的に安定であるため、液相中のPuを窒化させることは困難ですが、Cdを蒸留させると共に窒素ガスをPu-Cd系の金属間化合物と反応させてPuNを生成させ、この窒化反応によりCdの蒸留を更に促進させています(図7-12)。実験結果からは反応前後の物質収支も良好で、また蒸発したCdは回収・再利用が可能であることから、実用化への可能性も高いと考えられます。

更に、溶融塩電解精製で液体Cd陰極に回収した希土類元素を含むPu+Uの再窒化を同条件で試み、窒化物粉末として回収できることを確認しました。この際、希土類元素も窒化されPu・U窒化物相に固溶したことから、本方法は希土類元素と類似の性質を有するMAを含む系にも適用可能であると考えられます。今後、回収した窒化物粉末を用いたペレット製造を計画しています。

本研究内容は、電源開発促進対策特別会計法に基づく文部科学省からの委託事業として日本原子力研究開発機構が実施した「窒化物燃料と乾式再処理に基づく核燃料サイクルに関する技術開発」の成果の一部です。


●参考文献
Arai, Y. et al., Fabrication and Electrochemical Behavior of Nitride Fuel for Future Applications, Journal of Nuclear Materials, vol.344, 2005, p.180-185.


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