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12 研究開発拠点における試験技術・施設等の開発

私たちは、これまで紹介しました研究開発テーマごとの研究開発部門と、全国12箇所の地域に展開した研究開発拠点が連携して、幅広い研究開発を有機的に推進しています。

研究開発部門は関連する拠点において、各拠点の試験施設設備を活用して目的の研究開発を進めています。研究開発拠点では、様々な試験施設設備を管理運営するとともにその革新向上を図り、多様な研究開発に必要な試験技術,管理技術,施設・設備の開発を実施しています。

本章では、こうした各研究開発拠点における最近の試験技術・施設等の開発について紹介します。

 

敦賀本部

 「もんじゅ」は、これまで二次系温度計の交換・撤去工事、ナトリウム漏えい対策工事などの改造工事を行ってきました。本体工事(〜2007年5月)に続いて、改造設備の性能・機能を確認する工事確認試験、プラント全体の機能を確認するプラント確認試験を行う予定です。なお、改造工事編に引き続き、「運転等において想定される事故・トラブル事例集(試案)」を作成しました。プラント確認試験以降に想定される事故・トラブル118件について、一件ごとに、その概要,発生後の対応,事前防止対策などを記述しています。「ふげん」は、2006年11月に廃止措置計画の認可申請を行い、原子炉廃止措置研究開発センターに組織を変更し、廃止措置技術の開発を行っていきます。

「もんじゅ」の運転等において想定される事故・トラブル事例集(試案)

「もんじゅ」の運転等において想定される事故・トラブル事例集(試案)(https://www.jaea.go.jp/04/turuga/cases/)

   

東海研究開発センター 原子力科学研究所

原子力研究開発のCOEとして、研究炉,タンデム加速器,臨界実験装置,核燃料物質使用施設等の安全・安定な運転を行うとともに、多様な利用ニーズに応えるため、関連の技術開発を実施しています。

技術開発の一例として、研究炉を用いた悪性腫瘍等の治療法としてホウ素中性子捕捉療法の高度化開発を進めていますが、2006年度には座位体位での照射に対応できる患者セッティング技術を確立し、肺がん患者等の治療が可能になりました。その結果、2005年度の12回を上回る34回の照射治療が実施されました。また、放射線計測の信頼性を確保するため、国家標準とトレーサブルな放射線校正場の開発を進めています。放射線校正設備については機構外施設共用を2006年11月より実施しています。

改造15周年を迎えて利用が活発化するJRR-3ビームホール

改造15周年を迎えて利用が活発化するJRR-3ビームホール

   

東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所

再処理技術開発センターにて「ふげん」使用済燃料(11.7t、うちMOX燃料約2.5t)を用いた再処理試験を実施しました。また、プルトニウム燃料技術開発センターにて「もんじゅ」用低密度ペレットの製造条件等を把握するための試験を実施しました。

この他、再処理技術開発センターにて2002年3月20日に着工した低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)は、2006年9月15日に竣工し、試験運転(コールド試験)を開始しました。

低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)

低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)

   

J-PARCセンター

J-PARC(大強度陽子加速器施設)では、3基の加速器の建家建設が竣工し、機器の搬入,試験が進められています。中でも2007年1月24日、最初の加速器であるリニアックで、陽子を発生させて加速し、当初の目標である181MeVまでの加速に成功しました。2007年度中には次の加速器である3GeVシンクロトロンと50GeVシンクロトロンでも陽子の加速を行い、2008年10月の施設稼働開始を目指しています。

J-PARCの初段加速器リニアック

J-PARCの初段加速器リニアック

   

大洗研究開発センター

「常陽」と照射後試験施設を用いたFBR用高燃焼度燃料やマイナーアクチニド含有燃料等の開発、FBRの経済性向上等に係るナトリウム試験等、HTTRを用いた安全性実証試験、IS法(高温ガス炉用)やハイブリッド法(高速炉用)による水素製造技術開発を進めました。照射関連では、2011年度の再稼動に向けJMTRの改修が決まりました。また、「常陽」は永年にわたるFBR開発への功績が認められ米国原子力学会からランドマーク賞を受賞しました。更に、大洗わくわく科学館については、入場者数が100万人を突破するとともに地域への原子力を含めた科学教育に貢献しました。

永田敬 大洗研究開発センター所長(左側)Harold F. McFarlane 米国原子力学会会長(中央)鈴木惣十 高速実験炉部長(右側)

永田敬 大洗研究開発センター所長(左側)
Harold F. McFarlane 米国原子力学会会長(中央)
鈴木惣十 高速実験炉部長(右側)

   

那珂核融合研究所

私たちは、核融合研究開発部門と一体となって核融合エネルギーの実用化を目指しています。2006年11月のITER(仏に建設予定)協定締結に続き、2007年2月にはITER計画を補完する幅広いアプローチ協定が欧州との間に締結され、その一環としてJT-60の改修計画も緒に就きました。核融合研究開発の最前線を広く紹介するため、地元中学生や全国の高校生(スーパーサイエンスハイスクール等)向けの施設見学会をたびたび実施するとともに、毎年10月には地域の皆さまを対象とした施設公開を行っています。

地域を対象とした一般施設公開

地域を対象とした一般施設公開

   

高崎量子応用研究所

産業への応用を目指した新機能・環境調和材料,バイオ技術,量子ビーム分析の研究開発や材料・機器等の耐放射線性試験のため、4基のイオン加速器から成るイオン照射研究施設(TIARA)と電子・ガンマ線照射施設を機構内外の利用に提供しています。2007年度は、260MeVのネオンで世界で初めて径1μm以下のビーム形成を真空中で実現するとともに、プロトンマイクロビーム描画により、深さ/幅比が10以上の三次元構造の製作に成功しました。

数百MeV級重イオンマイクロビーム形成用四重極電磁石

数百MeV級重イオンマイクロビーム形成用四重極電磁石

   

関西光科学研究所

2006年度科学技術振興調整費の「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムに提案した「『光医療産業バレー』拠点創出」がフィージビリティスタディとして採択され、けいはんな地域(京都,大阪,奈良の三府県にまたがり、21世紀を担う文化・学術・研究の新しい拠点)の産学連携の拠点として「光医療産業バレー」構築に向けた活動を行いました。2006年度から開始した施設共用においては、大学・企業を含め57件の利用がありました。広報関係では、施設公開を始め、地元自治体行事への協力,サイエンスキャンプ,サイエンスセミナー等を実施しました。科学館においては、来館者20万人達成記念及び開館5周年記念式典を開催するとともに、地元教育局と協力し、やましろサイエンスフェステイバル,教員セミナーを実施しました。

レーザー駆動によるコンパクトな粒子線治療装置(概念図)

レーザー駆動によるコンパクトな粒子線治療装置(概念図)

   

幌延深地層研究センター

2006年度は、原子力発電の使用済燃料から回収した高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分技術に関する研究のうち、国の計画に示された深地層の科学的研究(地層科学研究)や主に堆積岩を対象とした地層処分研究開発等を継続するとともに、民間研究機関及び大学等との共同研究を実施しました。

また、地下研究施設の本格的な着工、PR施設の建設なども進めました。PR施設は2007年6月30日に開館し、調査研究及び成果普及に関するコーナーも設置しています。

PR施設内(センターの研究開発を紹介するコーナー)

PR施設内(センターの研究開発を紹介するコーナー)

   

東濃地科学センター

高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分技術に関する研究開発のうち、主に結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査技術などの研究開発、地質環境の長期安定性に関する研究を行っています。

2006年度は、瑞浪超深地層研究所において建設中である二つの立坑の底からボーリング調査などを行い、深度500m程度までの地下の状態を詳しく把握した後、研究坑道の掘削を主立坑200.2m、換気立坑193.6mまで進め、深度200mの水平坑道の掘削を開始しました。なお、瑞浪超深地層研究所は2007年度7月で着工5周年を迎えました。

200m予備ステージでの地質観察の様子

200m予備ステージでの地質観察の様子

   

人形峠環境技術センター

ウラン濃縮関連施設等の廃止措置技術として、七フッ化ヨウ素ガスによる乾式系統除染技術を開発しました。この技術を原型プラントに適用し、2008年度の終了を目指して、現在系統除染を継続して実施しています。また、使用済遠心分離機の除染技術として希硫酸による湿式化学除染技術の開発を継続して行っています。

鉱山跡措置関係では、跡措置に必要な地下水理のデータ採取等を実施するとともに、方面捨石堆積場の捨石を原材料の一部として使用する、レンガ加工工場の建設準備を開始しました。

遠心分離機処理技術開発の概要図

遠心分離機処理技術開発の概要図

   

青森研究開発センター

2006年度から加速器質量分析装置の施設共用を開始し、過去最高の炭素試料1,094個,ヨウ素試料502個を測定したほか、溶存有機物中C-14測定など分析技術開発を進めました。原子力船「むつ」の原子炉施設の廃止措置では物量調査等を行い、原子力科学研究所の実用燃料試験施設において使用済燃料再処理のための再組立作業を完了し、2006年10月には廃止措置計画の認可を受けました。同年11月に独立行政法人海洋研究開発機構,財団法人日本海洋科学振興財団と共催でむつ海洋環境科学シンポジウムを青森県むつ市で開催し地元への情報発信を行いました。

原子力船「むつ」の原子炉室

原子力船「むつ」の原子炉室

 



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