12-7 ナトリウム冷却炉内で金属試料が破断するまでの時間を測定

−FBR燃料被覆管材料の炉内クリープ破断試験−

図12-14 炉内クリープ破断試験における試料の破断・同定のための装置

図12-14 炉内クリープ破断試験における試料の破断・同定のための装置

試料の破断検知は、熱電対により温度の変化を測定するとともに、OLGMによりタグガスの放射化核種を検出することにより行います。破断した試料の同定は、カバーガスを採取し、RIMSによりカバーガス中に移行したタグガスの同位体組成を分析することにより行います。

 

図12-15 試料破断検知用温度計による試料破断時の温度変化の測定結果

図12-15 試料破断検知用温度計による試料破断時の温度変化の測定結果

熱電対の温度信号が約10℃上昇し、試料の破断検知に成功しました。

 

図12-16 RIMSによるカバーガス中のタグガスの同位体分析結果

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図12-16 RIMSによるカバーガス中のタグガスの同位体分析結果

RIMSにより良好な測定結果を得、この例ではタグガスNo.2に同定されました。

酸化物分散強化型鋼(ODS鋼)と呼ばれる新材料は、従来のステンレス鋼よりも高温強度と耐中性子照射性に優れ、将来のFBR用燃料被覆管の候補材として開発が進められています。このODS鋼が、実用化を想定したナトリウム中での中性子照射環境において、燃料使用末期の高温、かつ、高い内圧条件で塑性変形(クリープ変形)により破断するまでの時間を測定し、ODS鋼のクリープ破断強度を評価する試験を、「常陽」で実施しました。

このクリープ破断時間は温度に大きく依存するため、高精度な試験を実現できるよう温度制御型材料照射装置(MARICO)を開発し、その2号機(MARICO-2)を用いて、ODS鋼の炉内クリープ破断試験を実施しました。試験には、ヘリウムを内封して最大で22MPaの内圧をかけた24個の密封円筒型のODS鋼製試料を用い、これらの試料をMARICO-2に装荷して、「常陽」の炉心内に挿入し、試料の温度を±4℃で一定に制御して、中性子を照射しました。

試料がクリープ破断するまでの時間を測定するためには、試料がいつ破断するかを確実にとらえ、かつ、どの試料が破断したかを正確に同定する必要があります。このために、まず、試料を装てんしたキャプセルの温度を測定して、その変化により試料の破断を検知しました。試料は、6〜8個ずつキャプセルに装てんされており、キャプセルの上部に試料の破断検知専用の熱電対を設置しました。試料はナトリウム中で照射されていますが、これが破断すると内封されていたヘリウムガスが気泡状に放出され、熱伝導率が変化して温度が上昇します。この温度変化を検出し、試料の破断を検知できました(図12-14,図12-15)。

また、試料に内封したヘリウムガスに、試料によって同位体組成比を変えたキセノン,クリプトンの混合ガス(タグガス)を数cc添加しておきました。タグガスは、試料内で中性子照射により放射化しますが、試料の破断によりナトリウム中に放出され、原子炉容器内のナトリウムを覆うアルゴンカバーガス空間に移行するので、カバーガス中の放射能濃度を連続監視するカバーガス・オンラインγ線モニタ(OLGM)により、タグガスの放射化核種を検出して試料の破断を検知できます(図12-15)。試料の破断を検知したら、カバーガスを採取し、極微量同位体分析技術として開発してきたレーザー共鳴イオン化質量分析法(RIMS)を用いて、カバーガス中のタグガスの同位体組成を分析することにより、破断した試料を正確に同定できました(図12-14,図12-16)。

この試験は2006年4月から2007年5月まで実施し、24個のODS鋼試料のうち、14試料の破断のすべてを検知・同定しました。本試験の結果は、FBR実用化に向けた重要課題の一つである高性能燃料の開発に大きく寄与することが期待されます。


●参考文献
Ito, C. et al., In-pile Creep Rupture Experiment of ODS Cladding Materials in the Experimental Fast Reactor Joyo, Proceedings of the 15th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE15), Nagoya, Japan, 2007, ICONE15-10226, in CD-ROM.


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