1-6 燃料交換の効率化を目指して

−ナトリウム冷却炉燃料取扱いシステムの検討−

図1-16 実用ナトリウム冷却炉 燃料取扱設備

図1-16 実用ナトリウム冷却炉 燃料取扱設備

原子炉容器(R/V)から取り出された使用済燃料は、炉外燃料貯蔵槽(EVST)で崩壊熱を減衰させた後、使用済燃料貯蔵室に保管されます。新燃料は、EVSTにいったん受け入れた後、逆ルートでR/V内に搬入されます。

 

図1-17 燃料交換方式と原子炉容器径

図1-17 燃料交換方式と原子炉容器径

 

図1-18 炉内切込み付きUISと燃料交換機

図1-18 炉内切込み付きUISと燃料交換機


ナトリウム冷却炉の燃料交換は、軽水炉とは異なり、化学的に活性なナトリウム環境中で燃料を取り扱うことから、空気から隔離し、一連の動作を遠隔操作で行う必要があります。「常陽」「もんじゅ」では、安全性を確保しつつ信頼性の高い燃料取扱いシステムの開発が行われてきました。

FaCTプロジェクトで検討を進めている実用ナトリウム冷却炉の燃料取扱設備(図1-16)は、「もんじゅ」と同様に炉内燃料取扱設備,炉外燃料取扱設備,燃料貯蔵設備等から構成されます。しかし、経済性をより一層追求するため、革新的な技術の採用により、簡素なシステム構成とコンパクトな機器設備の実現を目指しています。

炉内燃料取扱設備は、原子炉容器のコンパクト化のために「常陽」「もんじゅ」と異なる燃料交換方式を検討しています。「もんじゅ」(28万kWe)では、燃料交換時に炉心上部機構(UIS)を炉心上部から完全に移動させる必要があるため原子炉容器径は炉心槽径の3倍以上となっています。これに対して、実用ナトリウム冷却炉(150万kWe)では、燃料交換機はUISとともに原子炉容器上部の回転プラグに取り付けられますが、UISに切込み部を設け、燃料集合体の取出し、挿入を行う燃料交換機グリッパユニット部をこの切込み部内に移動させて交換作業を行うこととしています。本方式により原子炉出力増大に伴う原子炉容器径の増加を抑制することが可能となります(図1-17)。

燃料集合体を把持するグリッパユニット部の移動は、燃料交換機本体と結ぶアーム部を伸縮させることにより行います。UIS切込み部は、大型炉の場合で幅約41cm,高さ約5.9m,奥行き約2.6mと空間が限られており、この中を移動し、指定された位置の燃料集合体の取出し、挿入が円滑に行えるコンパクトで、剛性があり、かつ高い位置決め精度を持つ燃料交換機の構造検討を行ってきました(図1-18)。今後、検討した構造をもとに試験装置を製作し、構造及び機能,性能の確認を行うこととしています。

燃料取扱設備については、「常陽」「もんじゅ」での燃料交換経験を反映させるとともに、新しい概念についてはモックアップ試験などの実施による設計データの取得、性能の確認を実施して実機の設計に反映させていくこととしています。


●参考文献
日本原子力研究開発機構, 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズU技術検討書− (1)原子炉プラントシステム−,JAEA-Research 2006-042, 付属CD-ROM, 2006, 1807p.


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