3-1 日欧共同で実施するJT-60SAの概念設計を完成

−ITER支援及び補完研究に向けたJT-60SA計画−

図3-2 JT-60SAの全体構成図

図3-2 JT-60SAの全体構成図

装置全体は、超伝導コイルを極低温に保持するため、クライオスタット(断熱容器)で囲まれています。真空容器内には耐熱性の高いダイバータ、プラズマを安定に維持するための安定化板、高速制御コイルが設置されています。

 

図3-3 JT-60SA計画の目標領域

図3-3 JT-60SA計画の目標領域

核融合炉の出力密度は規格化β値(プラズマ圧力の指標)の概ね2乗に比例します。原型炉で想定される高出力密度運転には規格化β= 3.5〜5.5のプラズマを安定維持することが必要です。これはITER補完研究の目標となっています。

 

図3-4 ITER支援、補完研究に適したプラズマ配位(a)ITER相似配位(b)高β運転配位

図3-4 ITER支援、補完研究に適したプラズマ配位(a)ITER相似配位(b)高β運転配位

ITER相似配位はITERの磁場構造が同じなので、得られる実験結果は直接、ITERの運転予測に適用できます。高β運転配位は圧力の高いプラズマを維持しやすい磁場構造を持っており、原型炉の開発に向けた研究が行われます。

JT-60SAは超伝導コイルを使用するトカマク型核融合実験装置(図3-2)です。日欧が共同出資して行うITERサテライトトカマク計画と日本のトカマク国内重点化装置計画の合同計画(JT-60SA計画)として、現在のJT-60を改修して建設されます。その目的はITER計画に直接貢献するITER支援研究と原型炉を見据えてITERと並行して進めるITER補完研究です。後者では、経済性のある高出力密度の原型炉の実現に向けて高β(高圧力)プラズマを長時間運転する方法の確立を目指します(図3-3)。

この実現に向けた4年間の設計活動を行い、このほど概念設計を完成させました。発生する磁場強度に応じて、中心ソレノイドにはITERと同じNbSn超伝導線、トロイダル磁場コイル、ポロイダル磁場コイルにはNbTi超伝導線を使用した設計により、電磁誘導方式で最大5.5MAのプラズマ電流を100秒間流すことを可能としました。プラズマ断面形状については、ITERとほぼ同一のアスペクト比(プラズマの大半径Rと小半径aの比A=R/a),非円形度,三角形度を有するITER相似配位と、高β運転に適した低アスペクト比,高非円形度,高三角形度の高β運転配位を一つの装置で実現するため、上下の異なるダイバータ形状とポロイダル磁場コイル配置の設計を行いました(図3-4)。更に容器内に安定化板と高速制御コイルを設置することで、プラズマの安定性を高めました。加熱装置については、臨界プラズマ級の高温・高密度プラズマや高β定常プラズマのシミュレーション計算を基に必要な加熱パワーを評価し、中性粒子入射加熱装置34MWと電子サイクロトロン加熱装置7MWを配備しました。このような高パワー加熱実験ではダイバータに流入する熱流は最大〜15MW/mに達するため、除熱性能の高い炭素繊維複合材のモノブロック方式のダイバータを設計しました。一方、超伝導コイルの運転を制限する二次γ線による核発熱や装置機器及び空気(アルゴン)の放射化を抑えるため、真空容器の二重壁内にボロン水を循環させ、クライオスタット壁にはボロン添加コンクリートを充てんして、核融合中性子や二次的なγ線及び熱中性子を効果的に遮へいしました。

この概念設計は日本のJT-60SA計画の概念設計にサテライトトカマク計画としての要求事項を取り入れ、原子力機構が主体となって再設計したものです。国内外の専門家の審査を経て、2007年6月から建設7年、実験3年の合計10年の計画として正式に開始しました。


●参考文献
菊池満ほか, 日欧の幅広いアプローチ計画と国内計画によるJT-60SA計画, プラズマ・核融合学会誌, vol.82, no.8, 2006, p.455-469.


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