5 安全研究

安全規制を支え、安全と信頼を確保

図5-1 安全研究の主な課題と役割

図5-1 安全研究の主な課題と役割

 

図5-2 BWRハフニウム板型制御棒ひび割れの原因調査への貢献

図5-2 BWRハフニウム板型制御棒ひび割れの原因調査への貢献

東京電力株式会社の福島第一原子力発電所6号機において発生したハフニウム板型制御棒のひび及び破損の原因調査を実施し、その成果が原子力安全・保安院の調査報告書(2006年5月)に記載されました。

原子力施設の安全を確保するため、国は事業者による施設の安全設計及び安全管理について安全審査や検査を行っていますが、安全研究は、その判断根拠となる指針・基準類の策定に対して最新の科学技術的知見を提供するために不可欠です。

そのような原子力安全規制を支えるための安全研究について、原子力安全委員会は、今後の規制の動向を踏まえ重点的に実施すべき安全研究を定めた「原子力の重点安全研究計画」を2004年7月に決定しました。その中で私たちは、主に図5-1に示すような重点安全研究課題の実施が期待されています。

こうした安全研究の成果を原子力安全規制に反映させることにより、原子力施設の安全性の維持・向上に貢献するとともに、国民の原子力に対する信頼性の醸成に役立つと考えています。

私たちは「原子力の重点安全研究計画」に沿って安全研究を着実に進め、広範な分野において成果を上げています。「リスク情報の規制への活用手法検討」に関する研究では、原子力発電所のリスク評価結果を安全目標と比較するときに重要な不確実さ評価手法を整備しました(トピックス5-1)。この成果は、日本原子力学会の「原子力発電所の確率論的安全評価に関する実施基準」に反映されました。「燃料の高燃焼度化に係る安全評価」の研究では、高燃焼度燃料の破損限界低下の原因が燃料被覆管の水素吸収によることを明らかにしました(トピックス5-2)。また、非常用炉心冷却系作動時の急冷による燃料破損について、比較的低温まで徐冷された後に急冷される方が壊れやすいことを明らかにしました(トピックス5-3)。「軽水炉の高度化に係る安全評価」の研究では、放射線照射によって燃料被覆管表面の濡れ性が増加する効果により伝熱特性が向上することを材料試験炉(JMTR)を使って世界で初めて実証しました(トピックス5-4)。これらの成果により第39回日本原子力学会賞技術賞を受賞しました。「高経年化機器・材料の健全性評価」の研究では、機器に加わる負荷や材料内部の欠陥の大きさのばらつきを考慮して条件付破壊確率を解析するコードPASCALを開発しました(トピックス5-5)。この成果は、第39回日本原子力学会賞技術賞・特賞を受賞しました。「核燃料サイクル施設の安全評価」の研究では、将来の濃縮度を高めた(5〜10%)燃料の核燃料サイクルに備えて臨界安全評価手法の高精度化を進めています(トピックス5-6)。また、燃料加工施設の粉末調整工程における添加剤の過剰投入による臨界事故の予測のために必要な添加剤の熱的特性データを取得しました(トピックス5-7)。「放射性廃棄物処分・廃止措置の安全評価」の研究では、カナダ原子力公社との国際協力により地下240mでの実験を行い、深地層の岩盤には放射性核種の移行を遅らせる働きがあることを実証しました(トピックス5-8)。また、原子炉施設の解体などで発生した廃棄物のうち放射性物質として扱う必要のない核種濃度レベル(クリアランスレベル)を算出する評価コードを開発しました(トピックス5-9)。このコードによる算出結果は、今後の規制行政庁におけるウラン及び超ウラン核種(TRU)廃棄物に対するクリアランスレベルの策定に役立てられます。

その他、原子力安全・保安院の要請に基づき、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所6号機において発生したハフニウム板型制御棒のひび及び破損の原因調査を原子力基盤機構との協力により実施し、ひびの発生要因と進展機構に関する分析結果を提供しました(図5-2)。



| | | | |