13-1 核拡散抵抗性が高い次世代核燃料サイクル技術を目指して

−核拡散抵抗性の解析手法及びクライテリアの検討−

図13-2 再処理施設の核拡散抵抗性(制度的バリア,技術的バリア)

図13-2 再処理施設の核拡散抵抗性(制度的バリア,技術的バリア)

 

図13-3 先進核燃料サイクルにおける高検知能保障措置システム

図13-3 先進核燃料サイクルにおける高検知能保障措置システム


高速炉核燃料サイクルを推進する場合、より多くのプルトニウムの取扱いが予想されますが、それに伴う国際的な懸念を払拭するために、堅固な不拡散対策の確立が求められています。その流れの一つとして「核拡散抵抗性」(核が拡散しにくくなるような措置をとること)の議論が活発化しています。核拡散抵抗性対策としては、内在的措置(技術的バリア)を施すこと,外在的措置(制度的バリア)を設けることに分けて考えるのが一般的です。外在的措置は非常に有効であり、その代表的な手段として保障措置があります。保障措置は、転用の適時・早期検知によりその抑止に信頼性の高いものですが、今後の原子力利用のグローバルな拡大に対処するには、保障措置を補強する内在的措置が不可欠と考えます。私たちは、次世代の燃料サイクルにおける核拡散抵抗性について合理性のある対策を導入すべく研究を行っています。下記にその一例として、再処理を例にとり保障措置などの転用検出・抑制技術の改良について検討するとともに、将来技術への抵抗性対策取込みに当たっての要件についても整理しました。

核の拡散への脅威は、国家による抜取り転用,施設・装置の不正使用,制度脱退,そして非国家主体(テロリストなど)による盗取などが考えられます。転用や不正使用などに対する外在的措置及び内在的措置の効果を図13-2に示します。

外在的措置である保障措置については、秘密裏の転用などの適時検出には包括的保障措置協定及び追加議定書発効下では多数のチェックポイントがあり、その有効性は極めて高いと考えます。現在または過去に追加議定書を締結している状況で秘密裏転用などを試みた例がないことは、その効果の大きさを意味するものと思われます。今後、取り扱いプルトニウムの多量化に伴い保障措置・検知能力を高いレベルで維持することは、関連制度の有効性を裏付けるためにも重要です。

一方、制度からの脱退や非国家主体による盗取という脅威に対しては、内在的措置に頼らざるを得ません。FaCTプロジェクトなどで提案されている次世代再処理技術は、これまでの再処理技術に比べて、Puの単離が難しいこと、MAや核分裂生成物(FP)を含むことにより核物質転用の魅力度が下がるなど、技術的バリア(核拡散抵抗性)が高く、核燃料サイクルからの核拡散を防ぐために効果的です。

本研究では、高い抵抗性を保持する要件として、下記に示すものを提案しています。これらは、設計段階で考慮することにより実現が可能となります(図13-3)。
(1)中間検認の充実化:従来の年1回の実在庫(棚卸)調査(PIT)/実在庫(棚卸)検認(PIV)のレベルに近い中間在庫検査(IIT)/中間在庫検認(IIV)を年に複数回(毎月など)行い、MUFをより低く管理する
(2)核物質計量の高度化・システム化:計量時のMUFを低く抑える小プロセスインベントリ設計の導入,計量測定のシステム化,準計量ベッセル概念の導入,プロセス管理運転の計量モード化など
(3)工程監視機能強化(リアルタイム化):ソリューションモニタリング高度化による転用検知能力向上,リアルタイム計量(RTA)によるフロー計量管理(補完的サポート),Pu/U/酸濃度を含む工程条件変更検知能力の改良など
(4)技術的抵抗性の組込み:Puの単離が難しい技術を採用すること,Puに種々の核種(MAやFP)を混ぜて製品とし核物質転用の魅力度を下げることなど

以上示した外在的措置,内在的措置を効果的に組み合わせ、かつ国際社会が認めるような経済的合理性のあるシステム概念を構築し国際社会に提案することが重要です。そのためには、内在的措置と外在的措置とのバランスを包括的に評価する解析手法や評価する際のクライテリア(基準)の検討を、革新的原子炉・核燃料サイクルに関する国際プロジェクト(INPRO)やGEN IVなどの国際的議論の場で行っていくことが必要と思われます。

本研究では概念的な核拡散抵抗性要件(達成すべき最低必要条件)について検討しましたが、今後、より具体化した検討が必要と考えます。


●参考文献
千崎雅生, 久野祐輔ほか, 次世代原子力システムの核拡散抵抗性, 日本原子力学会誌, vol.50, no.6, 2008, p.368-373.


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