3-10 コンパクトな核融合原型炉の炉概念を構築

−高稼働率を可能にする炉構造・保守概念−

図3-22 DEMO炉の炉構造・保守概念図

図3-22 DEMO炉の炉構造・保守概念図

運転休止期間を短縮するためセクターごと引き抜きます。

 

図3-23 保守時のセクターの搬送概念

図3-23 保守時のセクターの搬送概念

セクターを格納したキャスクが床面及びターンテーブルに設置したレールの上を移動します。

 

図3-24 セクターの構成とプラズマ安定化のための鞍型導体シェル

図3-24 セクターの構成とプラズマ安定化のための鞍型導体シェル

鞍型導体シェルの集合体に流れる渦電流がプラズマを安定化します。

コンパクトな核融合原型炉(DEMO炉)において炉心機器(ブランケットやダイバータなど)の定期交換を短期間に終えるための炉構造・保守概念を構築しました。このような交換作業が短期間で済めば、プラントの稼働率が向上し経済性の見通しをつけることができます。

交換保守期間の短縮のために採用した方法は、トーラス方向を12個のセクターに分割し、セクターごと引き抜ぬいて隣接するホットセルで保守及び炉心機器の交換を行う「セクター保守方式」です(図3-22)。一つのセクターには約60個の交換ブランケットが装着されており、定期交換時にはこれらすべてを入れ替える必要があります。それぞれのブランケットには冷却水やトリチウム燃料回収ガスを流す配管が接続されているので、これらの配管の切断・再溶接・試験を炉心本体内において遠隔制御で行う場合には半年以上の作業期間を要します。定期交換は二,三年に一度なので、半年という作業期間は長すぎます。セクター保守方式の場合には、スペアセクターと入れ替えることで、切断・再溶接作業の大部分が不要になるため三か月程度で運転を再開できます。取り出したセクターの交換補修や試験は、運転と並行して行えます。また、セクター保守方式には、不測のトラブルへの対応、高性能の炉心機器との入替など融通性で大きなメリットがあります。他方、大型重量構造物の搬送という技術的課題があります。この課題に対しては多数の車輪とターンテーブル方式の切り替え機で解決を図りました(図3-23)。引き抜いたセクターから放射性ダストが飛散することを避けるため、セクターごと大型のキャスクに格納して移動します。交換ブランケットの直下には鞍型導体シェルを設置します(図3-24)。鞍型導体シェルはプラズマが不安定になりかけたときに、シェル表面に誘導される渦電流を利用してプラズマを安定化する、いわば受動的な安定化装置です。

中性子,熱,電磁力という過酷な環境下でこのような炉構造概念の技術的成立性を丹念に検討することが今後の課題になります。


●参考文献
Tobita, K. et al., SlimCS−Compact Low Aspect Ratio DEMO Reactor with Reduced-Size Central Solenoid, Nuclear Fusion, vol.47, no.8, 2007, p.892-899.


| | | | |