14-11 大深度地下に研究坑道を掘る

−瑞浪超深地層研究所における坑道掘削時の湧水抑制技術−

図14-23 「瑞浪超深地層研究所」研究坑道のイメージ

図14-23 「瑞浪超深地層研究所」研究坑道のイメージ

両立坑深度は2009年3月31日時点の掘削深度です。

 

図14-24 図14-25 図14-26

図14-24 図14-25 図14-26


高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術基盤を整備するため、岐阜県瑞浪市にある「瑞浪超深地層研究所」において、主に花崗岩を対象とした深地層の科学的研究を進めています。現在掘削を進めている研究坑道は、2009年3月31日時点で、主立坑300.2m,換気立坑331.2mまで到達しました。深度300mにおいては、主立坑と換気立坑をつなぐ水平坑道(予備ステージ)やボーリング調査を行うための水平坑道(ボーリング横坑)、調査研究を行うための水平坑道(研究アクセス坑道)の掘削を行いました(図14-23)。

研究坑道は、坑道掘削に先立ちボーリング調査を行い、掘削範囲の地質や地下水状況を把握した上で坑道を掘削しています。調査の結果、深度200m付近の換気立坑側や深度300m研究アクセス坑道で大量湧水が発生する可能性が高いことが分かりました。このため坑道掘削時の湧水を抑制する技術として、坑道掘削に先立ち掘削範囲周辺の割れ目にセメントを注入する工法(プレグラウチング)を行いました。この工法は、割れ目にセメントを注入することで坑道周辺の透水性を低下させ、坑道掘削時の湧水を抑制する工法です。

ここでは深度200m付近でのプレグラウチングと坑道掘削について説明します。深度200m付近では、換気立坑とボーリング横坑周辺、更に深度約220m付近までを対象としてプレグラウチングを行いました。ボーリング横坑では、注入孔を掘削した時に毎分約500Lの湧水箇所がありました(図14-24,図14-25)。この湧水箇所にはプレグラウチングによりセメントが注入され、坑道掘削時は壁面からにじみ出し程度で顕著な湧水は認められませんでした(図14-26)。坑道壁面の観察では、割れ目に注入されたセメントが固化した状態が認められており、これにより湧水が抑制されているものと推測できます。

プレグラウチングの計画では、ボーリング調査で得られた地質や地下水状況をもとに、地下水の浸透理論を用いて坑道周辺の透水性を低下させる割合やセメントを注入する範囲を設定し、湧水量の抑制目標を定めました。この計画に基づきプレグラウチングを行い坑道を掘削した結果、目標よりも少ない湧水量で掘削することができ、湧水の抑制を達成することができました。今後も大量の湧水が予想される範囲では、プレグラウチングを行うことを基本とし、坑道掘削を進めていく予定です。


●参考文献
原雅人, 木下晴信, 池田幸喜ほか, 瑞浪超深地層研究所換気立坑建設工事におけるプレグラウチングの現状, 土木学会トンネル工学委員会, トンネル工学報告集, vol.18, 2008, p.23-30.


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