14-12 ラドン測定に係るトレーサビリティの構築

−ラドン測定技術の標準化と精度の保証−

図14-27 人形峠環境技術センターのラドン測定に係るトレーサビリティの概要

図14-27 人形峠環境技術センターのラドン測定に係るトレーサビリティの概要

 

表14-2 人形峠環境技術センターのラドン測定技術

表14-2 人形峠環境技術センターのラドン測定技術

 

 

図14-28 国際的な標準機関との比較実験結果

図14-28 国際的な標準機関との比較実験結果


原子力機構は人形峠環境技術センターと東濃地科学センターでウラン鉱山跡地を管理しています。ウランの子孫核種であるラジウムの壊変によりラドンが生成します。ラドンは天然の放射性の希ガスで、大気中を拡散するため、施設敷地内やその周辺地区の環境管理で、ラドン測定は特に重要です。

測定結果に期待される精度の保証はトレーサビリティにより実現されます。つまり、利用する測定器の校正は、国家標準又は国際標準と連続して位置づけられていることが必要です。大気中のラドン濃度測定に係る標準化された体系は、諸外国では整備されていますが、我が国には国家標準としての試験場や日本工業規格などに規定された標準測定法がありません。種々の測定結果の整合性を確認するためには、トレーサビリティの確立とともにシステムの継続性と信頼性とを自ら客観的に示す必要があります。

この目的のため私たちは、人形峠環境技術センターを中心に、ラドン測定に係る種々の技術開発や装置の信頼性と精度の維持に取り組んでいます。人形峠環境技術センターのトレーサビリティの概要は図14-27のとおりです。一次標準である値付けされたラジウム溶液から二次標準であるガス封入型電離箱法、更に環境測定に使用するそのほかの測定法(表14-2)までの連続したシステムを確立しました。このシステムを維持する中心的設備として、ラドン標準校正チェンバを開発しています。これまでの取組の中で、以下の成果が得られています。
(1)二次標準であるガス封入型電離箱法について、理論的、実験的に検討し、通常の測定環境では本法が精度の高い安定した手法であることを示しました。
(2)ガス封入型電離箱法について、国際的な標準機関との比較実験より、結果の信頼性と一貫性が1984年以降保たれてきたことを確認しました(図14-28)。
(3)人形峠環境技術センターの校正及び測定技術が、構築されたトレーサビリティ体系により、適切に維持されたことを客観的に示しました。

ラドンは主に土壌や建材に含まれるラジウムを起源として、環境中に広く分布しており、国際的にも特に注目されています。さらに、天然起源の放射性物質やウラン系廃棄物の処分に関する検討でも注目されています。測定手法の標準化やトレーサビリティの確立・維持に係る長期間の組織的活動は我が国では少なく、我が国のラドン測定標準化への貢献が期待されます。


●参考文献
Ishimori, Y., Traceability on Radon Measurements at the JAEA Ningyo-toge, 保健物理, vol.42, no.3, 2007, p.247-254.


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