1-2 次世代FBRの環境負荷低減性などの向上

−MA含有酸化物燃料を適用した炉心・燃料設計−

図1-4 JSFR実用炉の炉心構成・燃料ピンの概略

図1-4 JSFR実用炉の炉心構成・燃料ピンの概略

 

表1-1 JSFR実用炉の主要な仕様・性能目標・設計目安

表1-1 JSFR実用炉の主要な仕様・性能目標・設計目安

 

表1-2 軽水炉回収組成とFBR多重リサイクル組成を適用したJSFR実用炉の主要な仕様・特性の比較

表1-2 軽水炉回収組成とFBR多重リサイクル組成を適用したJSFR実用炉の主要な仕様・特性の比較


私たちは、安全・信頼性,持続可能性(環境負荷低減性,資源有効利用性など)、経済性,核不拡散性を開発目標とし、JSFRと称する次世代FBRの開発を実施しています。このJSFRについて、MAを含有した燃料を用いた炉心・燃料概念の構築に向けた研究を行いました。

JSFRでは、主に環境負荷低減性向上の観点からMAを燃焼する要求があります。MAはFBR導入からの時期に応じて、燃料中に含有される量が変化します。導入から年数が経過し、原子炉すべてがFBRに置き換わった時期では、FBRの使用済燃料がリサイクルされ、繰り返しリサイクルされたあとのMA含有率は1wt%程度と見積もられます。一方、導入の初期では、軽水炉とFBRが共存し、MAを多く含む軽水炉使用済燃料がリサイクルされ供給されるため、リサイクルのシナリオに依存しますが、高いMA含有率をとる可能性があります。このように、JSFRの炉心・燃料設計では、ある程度の幅を持ったMA含有燃料を受け入れることが要求されます。

MAの含有は、炉心・燃料設計に影響を与えますが、設計に必要なMA含有燃料の物性などの知見は限られた状況で、それを補うために大きな設計上の余裕を持たせた対応をとっていました。そこで、私たちはこれらデータの取得を進め、それらを十分に活用して、JSFR実用炉の炉心・燃料設計(図1-4,表1-1)を実施しました。MA含有率に関しては、FBR多重リサイクル組成ケースに加え、暫定的にMA含有率3wt%を想定した軽水炉回収組成ケースを適用しました。

MA含有率の増加により、炉心設計では、Naボイド反応度の増加,燃料設計では、MA核種のα崩壊によるHeガス生成増加によるガスプレナム長の延長、燃料融点・熱伝導度の低下による定格時線出力制限値の低下などの影響が認められました(表1-2)。ただし、ここで想定した1〜3wt%程度の範囲であれば、炉心・燃料仕様に大きな変更をもたらすような影響は生じず、受け入れ可能な見通しが示されました。

今後、MA含有率の幅の評価のため軽水炉使用済燃料のリサイクルシナリオの検討を進めるとともに、MA含有燃料データの一層の拡充を進め、炉心・燃料設計に反映していく計画です。


●参考文献
Naganuma, M. et al., Development of Advanced Loop-Type Fast Reactor in Japan, (6) Minor Actinide Containing Oxide Fuel Core Design Study for the JSFR, Proceedings of 2008 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '08), Anaheim, CA, USA, 2008, paper 8082, p.526-535, in CD-ROM.


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