1-3 将来のFBR燃料の照射挙動を調べる

−Am含有MOX燃料の短期照射挙動−

図1-5 照射後の5%Am-MOX燃料の横断面組織

図1-5 照射後の5%Am-MOX燃料の横断面組織

10分間照射で既に組織変化が開始し、24時間照射後には中心空孔が発達します。

 

図1-6 24時間照射した5%Am-MOX燃料の元素分布

図1-6 24時間照射した5%Am-MOX燃料の元素分布

燃料組織変化の発達に伴い、燃料ペレットの中心部(中心空孔周辺)でPuとAmの濃度が増加しています((d)では赤色の部分が高濃度領域)。

FBR実用化時の燃料形態のひとつとして、資源の有効利用,廃棄物発生量の低減を目指した低除染MA含有MOX燃料が注目されています。この燃料の開発に当たっては、照射による燃料中のアメリシウム(Am)などの再分布挙動データ及び被覆管内面腐食挙動データを取得することが必要です。

大洗研究開発センターでは低除染MA含有MOX燃料開発の一環として、「常陽」においてAmを最大5wt%含有するMOX燃料ペレットの照射試験(Am-1)を実施しています。

Am-1は、最高出力状態を10分間及び24時間保持する試験「10分間照射」「24時間照射」)並びに定常照射試験から構成されており、我が国で初めてのMA含有MOX燃料の照射試験です。現在までに、照射初期の燃料の挙動を把握するための10分間照射及び24時間照射を計画どおり終了しました。

最高線出力は約430W/cmであり、MA含有MOX燃料ペレットの照射実験では、世界最高の線出力条件を達成しました。この燃料の照射挙動を評価するため、燃料の組織観察やX線マイクロアナライザ(EPMA)による元素分析などの照射後試験を行っています。

10分間照射では、高い線出力照射においても設計上の制限となる燃料溶融は見られず安定に照射されたことを確認し、ごく短期間の照射においても従来のUO燃料やMOX燃料と類似の形態を示す組織変化が進行していることが分かりました(図1-5(a))。さらに、24時間照射すると中心空孔が大きく発達し、初期の燃料組織変化がほぼ完了していることが分かりました(図1-5(b))。

燃料ペレットの径方向における元素分布をEPMAで測定した結果、FBR酸化物燃料に特徴的なプルトニウム(Pu)再分布の発現が認められました。また、AmについてもPuと類似の分布を示し、燃料ペレットの中心部で高濃度化していることが明らかになりました(図1-6)。こうした燃料組成の変化は燃料性能に直結する燃料融点を低下させるものであり、照射中における燃料組成変化の把握は燃料性能評価手法の確立のために必要不可欠なものです。今後も定常照射燃料において長期間燃焼した燃料の健全性を確認する照射後試験を実施することで、低除染MA含有MOX燃料の性能評価及び健全性評価に資するデータを蓄積する予定です。


●参考文献
Tanaka, K. et al., Microstructure and Elemental Distribution of Americium-Containing Uranium Plutonium Mixed Oxide Fuel under a Short-Term Irradiation Test in a Fast Reactor, Journal of Nuclear Materials, vol.385, issue 2, 2009, p.407-412.


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