2-1 地層処分技術の知識の体系化

−知識マネジメントシステムの開発−

図2-3 地層処分技術に関する知識マネジメントシステムの全体像
拡大図(210KB)

図2-3 地層処分技術に関する知識マネジメントシステムの全体像

図2-4 知識ベースとユーザー支援機能
拡大図(220KB)

図2-4 知識ベースとユーザー支援機能


地層処分技術にかかわる「知識」は、データベース、文献、ソフトウェアなどの「形式知」から、専門家の頭の中に蓄えられている経験、ノウハウなどの「暗黙知」まで、多岐にわたります。また、関連する知識は数10年以上にわたる処分事業期間中に増加し続けます。安全性の説明が信頼に足ることを継続的に示していくためには、これらの知識を総動員することが必要ですが、単に多量の情報の中から個別の知識を利用するだけでなく、安全性の説明の枠組みの中で、知識を位置づけ、関係者間で共有するための新たなプラットフォームを構築することが必要です。このような地層処分技術の鍵となる知識を適切に管理することを目的に、知識マネジメントシステムの開発を進めています。これは、既存の検索ツールなどで対応できるものではなく、最新の情報技術及び知識工学的な方法論などを最大限に活用する必要のあるチャレンジングな仕事です。

図2-3に、知識マネジメントシステムの全体像を示します。本システムの主要な要素は知識ベースとマネジメント機能です。知識ベースでは、研究開発で得られたデータ、ソフトウェア、情報、知見を構造化するとともに、専門家の暗黙知に依存する部分をできるだけ引き出してエキスパートシステムなどの形で組み込んでいきます。マネジメント機能としては、知識ベースに格納されている知識が、安全性の説明という観点からどのように利用されるのかを透明性をもって示すための論証支援機能(「地層処分は長期的に安全である」という主張に関する説明を、主張の根拠となる種々の「論証」とある論証に対して考えうる「反証」との連鎖(討論モデル)で表現)などが中心となります。

一方、地層処分事業者や規制機関だけではなく、政治家や一般の方といった幅広いユーザーにとって使いやすいシステムにするために、図2-4に示すように、ユーザー支援機能を充実させます。すなわち、最新の技術を最大限活用したパワフルで効率的な検索機能を適用するとともに、異なる専門分野間での用語の違いなども解釈して多種多様な知識の中から求める知識を効果的に抽出する機能(異分野横断解釈支援機能)などを持たせます。
 私たちは、このような知識マネジメントシステムを社会共有の知的財産とすべく、2010年にプロトタイプを公開する予定です。


●参考文献
日置一雅, 知識マネジメントシステムの開発, 原子力eye, vol.54, no.7, 2008, p.31-33.


| | | | |