2-8 一本のボーリング孔から割れ目の連続性を探る

−堆積岩を対象とした割れ目調査−

図2-19 割れ目の連続性・連結性に関する概念図

図2-19 割れ目の連続性・連結性に関する概念図

(a)声問層:開口性が高い割れ目がほとんど連続・連結しない
(b)稚内層:開口性が高い割れ目が比較的連続・連結する

 

図2-20 立坑壁面の地質観察結果

図2-20 立坑壁面の地質観察結果

ボーリング孔近傍の地下施設換気立坑(円柱状:直径4.5m)壁面で実施している声問層の地質観察結果です(南方向を両端に展開したもの)。図には50cm以上の連続性が確認できた割れ目を記載しています。

堆積岩において、開口性の高い割れ目がどの程度地下で連続・連結しているかを把握することは、地下水の流れに関するモデル化及び数値解析を行う上で重要な基盤情報となります。地下における開口性の高い割れ目の連続性・連結性を知るための方法としては、複数の近接したボーリング孔を用いて水圧の応答を確かめたり、実際に地下坑道を掘削してその壁面の観察で確かめたりする方法があります。しかしながら、調査の初期の段階では地上から掘削した数少ないボーリング孔から、より多くの情報を入手することが望まれます。

本研究では、北海道北部の幌延地域に分布する声問層及び稚内層と呼ばれる二つの堆積岩中の割れ目がどの程度の連続性・連結性を持っているのかを検討するために、地上から掘削した一本のボーリング孔(掘削深度520m)で認められた開口性の高い割れ目のうち、実際に地下水の主要な水みちとなっているものは何本ぐらいあるのかを調べました。これは、たとえ割れ目の開口が高くても、もともと割れ目の連続性・連結性がよい岩盤でなければそれらの開口割れ目は地下水の主要な水みちとはなりにくいであろう、そして反対に、もともと連続性・連結性がよい岩盤であれば、割れ目の開口性がさほど高くなくてもそれらの開口割れ目は主要な水みちとなりやすいであろう、という考えに基づくものです。

調査の結果、声問層の割れ目はほとんど連続・連結していないこと、一方で稚内層の割れ目は声問層よりも連続・連結していることが統計的に示唆されました。図2-19はこの結果を概念的に示したものです。声問層については、本ボーリング孔近傍で建設が始まった地下施設換気立坑の立坑壁面での地質観察によりその妥当性が確認されつつあり、壁面観察において数m以上の連続性・連結性を有する割れ目はほとんど認められないことが分かってきています(図2-20)。今後、更に立坑の掘削が進み、より深部の坑道壁面の地質観察ができるようになると、稚内層の割れ目の連続性・連結性も確認していくことが可能となります。


●参考文献
舟木泰智, 石井英一ほか, 新第三紀堆積岩中の割れ目は主要な水みちとなり得るか?, 応用地質, vol.50, no.4, 2009, p.238-247.


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