10-1 再処理低放射性廃液の新たな処理技術開発

−低放射性廃液のセメント固化技術の確立を目指して−

図10-4 液体廃棄物処理の現状と将来計画
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図10-4 液体廃棄物処理の現状と将来計画

東海再処理施設から発生する低放射性の濃縮廃液及びリン酸廃液は、将来埋設処分するためにLWTFで処理する計画です。LWTFでは埋設費用を軽減するために、廃液を放射性核種を含むスラリー廃液と放射性核種をほとんど含まない硝酸塩廃液とに分離し、また将来的には処分環境中の硝酸性窒素の濃度を低く抑えるために硝酸根を分解し炭酸塩等に変換する計画です。

 

図10-5 セメント固化試験概要図
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図10-5 セメント固化試験概要図


私たちは、低放射性廃液のセメント固化設備を低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)に設置するための技術開発に取り組んでいます(図10-4)。

核種分離後の廃液は、蒸発缶で水分量を調整しインドラムで固化処理します。蒸発缶の性能上、塩量に対する水分量の割合が多く市販セメントでは浮き水が発生します。そのため余剰な水分があっても固化が可能な高炉水砕スラグ微粉末を主成分とした特殊セメントを採用しています。その結果、硝酸塩充てん率50wt%で強度10MPa以上の均一な固化体が作製可能となりました(図10-5)。

不純物を多く含むスラリー廃液に関しては、不純物の沈降を防止するために混練物の粘性を高め高粘度流体用撹拌翼を採用することで均一な固化体が作製可能となりました。

硝酸根分解後の炭酸塩廃液は、pH約11.5の飽和溶液と沈降した炭酸塩が主成分です。炭酸塩は32℃以下で10水和塩を形成し混練に必要な水分が不足します。また、セメント成分のカルシウムと反応しNaOHが放出されpHが上昇します。そのため水分が不足しても混練可能で、高pHに対しても反応が緩やかな粒の粗い高炉水砕スラグを採用し、廃液温度は50℃に設定しました。ビーカー試験では、温度の低下が早く、一部のサンプルで割れや膨張が観察されました。しかし、実規模試験ではドラム缶内の保温性が高く割れや膨張などは見られませんでした。炭酸塩充てん率30wt%で強度10MPa以上の均一な固化体が作製可能であることを確認しました。今後、膨張を抑制する条件を整備する計画です。

廃溶媒を処理した結果発生するリン酸廃液(NaHPO)は、pH約4の酸性廃液で固化前に中和が必要となります。リン酸イオンは固化反応への影響が大きく、また中和したリン酸塩(NaPO)は34℃以下で12水和塩を形成し増量するためにリン酸塩充てん率は原廃棄物換算で最大でも6wt%でした。充てん率を向上させるためにリン酸廃液をカルシウムで処理し水和塩を持たない安定なリン酸カルシウムに変換する方法を試験しました。その結果、Ca/P比2.43倍ですべてのリン酸塩をリン酸カルシウムに変換することができ、固化反応への影響が緩和され、リン酸塩(NaHPO)充てん率14wt%で強度10MPa以上の均一な固化体が作製可能となりました。

今後は、固化体の低pH化を目指した固化材の開発、処分適合性の確認試験を実施する計画です。


●参考文献
Sugaya, A. et al., Development of New Treatment Process for Low Level Radioactive Waste at Tokai Reprocessing Plant, Proceedings of WM2010 Symposia, Phoenix, Arizona, USA, 2010, 12p., in CD-ROM.


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