1-9 PuとSiの化合物を調べる

−MOX燃料に含まれる不純物の挙動評価−

図 1-23 MOX-6.9 wt%SiO 2ペレット断面の元素分析結果

図1-23 MOX-6.9wt%SiOペレット断面の元素分析結果

熱処理を行ったペレット断面の元素分析結果を示します。赤い領域が濃度の高い領域です。PuとSiは同じ箇所で相対濃度が高くなっており、ネットワーク状に広がっています。右下は電子顕微鏡による組織観察結果です。

 

図 1-24 熱処理を行ったPuO 2-SiO 2混合粉末のX線回折パターン

図1-24 熱処理を行ったPuO-SiO混合粉末のX線回折パターン

熱処理を行った試料のX線回折パターンを示します。PuSiOは析出する条件が限られており、析出する相の多くはPu4.67SiO13を含む相でした。PuSiOは、本研究で、初めて明らかにした化合物です。

私たちはFBR燃料としてMOX燃料の開発を進めています。 MOX燃料は、原料粉末である二酸化ウラン(UO)と二酸化プルトニウム(PuO)を混合,成型,焼結を行うことによって製造していますが、原料粉末の混合工程において、混合設備に用いられるシリコン(Si)ゴムが燃料中に不純物として混入する可能性があります。そのため、MOX燃料中にSiが混入した場合のSiの挙動を調べて評価することが必要です。本研究では、MOX燃料中におけるSiの挙動を明らかにするために、MOXまたはPuOにSiを混合させ、反応生成物を調べる試験を実施しました。

MOX粉末に6.9wt%のSiO粉末を混合し、ペレットを作製して2400℃で熱処理を行いました。図1-23に酸素分圧(Po)が低い雰囲気(3.0×10−7Pa)で熱処理を行ったペレット断面の元素分析結果を示します。測定は電子線プローブマイクロアナライザで行いました。PuとSiの相対濃度の高い領域が同じ箇所に存在していることから、SiはMOX燃料中のPuと反応して化合物を形成していると考えられます。

この化合物の生成条件及び化学形態を確認するために、PuO-SiO反応試験を実施しました。PuOとSiOの混合比をモル比で3:1,3:2及び3:3に変化させた試料を調整して、温度(1350〜1700℃)と酸素分圧(10−7〜10−10Pa)をパラメータにして熱処理を施しました。図1-24に、熱処理を行った試料のX線回折パターンを示します。温度と酸素分圧により、Pu4.67SiO13及びPuSiOの二種類の化合物が析出することが明らかになりました。PuSiOを含む相は混合比が3:2及び3:3のサンプルで1600℃以上の温度,10−7Pa以下の酸素分圧の領域で析出しましたが、析出する相の多くはPu4.67SiO13を含む相であることが分かりました。さらに、それ以外の条件ではPuOとSiOが反応しないことを確認 しました。これらのことからMOX中にSiが存在する場合、温度及びMOX中の酸素量に依存してSiO,Pu4.67SiO13及びPuSiOの化学形態をとることが分かりました。

このように、本研究によってMOXに含まれる不純物Siの挙動を調べ、各化合物の生成条件を明らかにすることができました。


●参考文献
Uchida, T. et al., Phase States in the Pu-Si-O Ternary System, IOP Conference Series; Materials Science and Engineering, vol.9, 2010, p.012004-1−012004-5.


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