2-1 知と技の伝承への挑戦

−地層処分の知識マネジメントシステム・プロトタイプの公開−

図2-3 JAEA KMSプロトタイプの画面の例

拡大図(106KB)

図2-3 JAEA KMSプロトタイプの画面の例

利用目的ごとにどのツールを使えばよいかのガイド機能や、各ツールの操作ガイドビデオや利用シナリオの紹介などのヘルプ機能が付加されており、初めてのユーザーでも使いやすいようにするための工夫がなされています。



地層処分の安全性は、実際に施設や設備を長期に動かして実証することができないため、様々な知識を用いて立証することが必要になります。これらの「知識」は、データベース,文献,ソフトウェアなどの「形式知」から、専門家の頭の中に蓄えられている経験,ノウハウなどの「暗黙知」まで、多岐にわたります。さらに、処分事業の進展に伴い、関連する知識は、今後も増加し続けることが予想されます。

安全性の立証を信頼に足るものにするためには、ありとあらゆる知識を総動員することが必要ですが、単に膨大な知識の中から個別の知識を抽出して利用するだけではなく、それぞれの知識の関連が分かるように整理し、利用者間で共有するためのプラットフォームを構築することが必要です。そのため、このような地層処分技術の鍵となる知識を適切に管理することを目的として、知識マネジメントシステム(JAEA KMS)の開発を進めています。

これまでに、
・安全性に関する議論とその根拠を「論証」と「反証」の連鎖によって透明性をもって示すための討論モデル
・計画の立案や調査,解析,評価に関する暗黙知を蓄積,活用していくためのエキスパートシステム
・過去の失敗事例などを検索できる事例ベース
・報告書の作成を支援する性能評価統合レポートシステム
を含む、10の個別ツールを開発し、図2-3に示すような種々のヘルプ機能を付加して、JAEA KMSとして取りまとめました。現在はまだ、外部からのアクセスは閲覧のみに限られているため 、プロトタイプと呼ぶこととし、これを、2010年3月に地層処分研究開発部門のホームページ(https://www.jaea.go.jp/04/tisou/toppage/top.html)上で公開しました。

これにより、地層処分に係る知識ベースへのアクセスを通じて、地層処分の安全性を支える論拠や知識を効率的に統合・利用することが可能となり、我が国の地層処分計画の着実な推進を支援するための方策が一段と強化されたものと考えています。JAEA KMSプロトタイプは、どなたにでもご利用いただけます。今後は、運用,維持,管理を行い、幅広いユーザーの皆さまからご意見,ご要望をいただき、知識の拡充と機能の改良を図っていく予定です。


●参考文献
日置一雅ほか,JAEA知識マネジメントシステムと中期計画取りまとめ“CoolRep”の概要,JAEA-Review 2009-049, 2010, p.24-41.


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