11-1 我が国の核不拡散対応を他の国に活かすために

−原子力平和利用の信頼確立の要素と今後の課題−

表11-1 核不拡散に関する我が国の対応の主な要素と今後の課題

これまでの我が国の核不拡散対応を七つの分野に分類し、主要な要素及び今後の検討課題を抽出しました。

表11-1 核不拡散に関する我が国の対応の主な要素と今後の課題
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我が国は、1950年代から原子力利用を開始しましたが、当初から平和利用に徹することを明確にし、透明性を確保した形で原子力利用を進めるとともに、国際的な核不拡散の取組みに積極的に貢献してきました。本研究は、これまでの我が国の核不拡散対応の整理,分析,評価を通じて、我が国の取組みのうち、他の国に対しても適用され得る要素を抽出することを目的とするものです。

本研究では、これまでの我が国の核不拡散対応を七つの分野に分類して整理,分析,評価し、それぞれの分野における我が国の取組みの主要な要素、今後の課題と考えられる事項を抽出しました(表11-1)。こうした分析を通じて、我が国のこれまでの核不拡散対応が、各分野における条約等の国際基準を満たすものであるとともに、分野によっては、国際基準を超えるものであったことが明らかになりました。また、検討すべき課題として、NPTを含む核不拡散体制の強化や関連する国際機関に対する積極的な貢献、統合保障措置の下で査察を受ける側も含めた全体としての保障措置の最適化の実現、改正核物質防護条約の早期批准等が挙げられます。

我が国は他の非核兵器国と異なり、濃縮,再処理といった核燃料サイクル活動を実施しており、我が国の核不拡散対応には、そうした特殊性に起因する要素も含まれると考えられます。そこで、本研究では、各分野における我が国の取組みを、A.原子力活動の有無にかかわらず必要な対応、B.原子力活動の実施に係る対応、C.核燃料サイクルを実施することで必要になった対応の三つのカテゴリーに分類しました。

AとBについては、今後、新しく原子力発電を導入する国が核不拡散上の対応としてどのような取組みが必要となるかを検討するにあたっての参考となるものであり、原子力平和利用の先進国である我が国はこれらの要素に重点を置いて核不拡散対応への支援を行うことが必要であると考えます。


●参考文献
山村司ほか, 核不拡散に関する日本のこれまでの取組みとその分析−原子力平和利用の信頼確立の要素と今後の課題−, JAEA-Review 2010-040, 2010, 180p.


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