1-7 最新の核データの精度を「もんじゅ」で検証する

−炉定数調整による241Amの核データの検証−

表1-2 炉定数調整前後の解析精度の比較

200 ℃での臨界点データに対する解析精度(実効増倍率1.0からのずれ)を二つの炉心、二種類の核データについて、炉定数調整前後で比較しています。JENDL-3.3の調整前結果で炉心間の解析精度差が大きく現れています。

表1-2 炉定数調整前後の解析精度の比較

 

 

図1-19 炉定数調整による炉心間の解析精度差の変化の内訳

図1-19 炉定数調整による炉心間の解析精度差の変化の内訳

表1-2の炉心間の解析精度差の変化について内訳を示しています。JENDL-3.3では主に241Am捕獲反応が寄与しており 、JENDL-4.0の場合、その寄与は小さいことが確認できます。

高速炉には長半減期の核種を燃料に混ぜて燃焼させることにより、高レベル放射性廃棄物を低減できるという特徴があります。241Amは主要な長半減期核種ですが、燃料として利用するには241Amを含む炉心の核特性を精度良く予測することが不可欠です。そのためには使用する核データの精度が鍵となりますが、241Amについて核特性解析精度を直接検証できるデータはありません。

2010年に再開された「もんじゅ」の性能試験では、1994年の試験に比べて241Am含有率が3倍高い炉心で核特性が測定されています。そのため、両炉心の核特性解析精度を比較・分析すれば241Amの核データを検証できる可能性があります。

両炉心の差異は燃料組成のみですが、 241Puなど241Am以外の組成も異なっています。そこで核特性測定値を基に炉定数調整を実施しました。炉定数調整とは、核特性測定値を解析で再現するように炉定数(核データ)をその誤差の範囲で調整するものであり、調整量の大小が元の炉定数の信頼性を示すひとつの尺度となります。

炉定数を正確に調整するためには誤差評価が重要です。誤差評価を誤ると無理な調整を炉定数に押しつける、あるいは逆に必要な調整がされないおそれがあります。本研究では解析値に様々な補正を施すことにより解析手法の誤差を最小化するとともに、実験値の誤差を詳細に評価しました。

表1-2に核データに最新のJENDL-4.0(2010年公開)と一代前のJENDL-3.3(2002年公開)を使用した場合の調整前後の解析精度を示します。炉心間の解析精度差に着目すると、JENDL-3.3の場合、調整前で-0.2%Δk/kの差があり、調整により低減しています。一方、JENDL-4.0の場合は調整前で既に精度差は小さく、調整による変化も軽微です。図1-19には調整による精度差の変化に対する核種・反応ごとの寄与を示します。JENDL-3.3では主に241Am捕獲反応が寄与しており、241Amについてオリジナルデータの修正余地が大きいこと、JENDL-4.0ではその寄与は小さく、オリジナルデータの信頼性が高いことが確認できます。

以上のように、241Amの核データについて、「もんじゅ」の性能試験データが検証に有効であり、JENDL-4.0の信頼性が高いことを実証しました。高速炉での241Amの利用に寄与するものと考えています。


●参考文献
Hazama, T. et al., Adjustment of 241Am Cross Section with Monju Reactor Physics Data, Proceedings of 2011 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP'11), Nice, France, 2011, paper 11206, p.1527-1535, in CD-ROM.


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