2-10 積雪寒冷地での地下浅部の水の動きを探る

−幌延地域における地下水位と地質構造に基づく浅部地下水流動の研究−

 

図2-24 表層水理調査の様子

図2-24 表層水理調査の様子

(上) 積雪期における積雪水量調査の様子です。積雪期の調査時には雪上車を活用します。
(下) 非積雪期における河川流量観測の様子です。非積雪期には長袖上着2枚,防護網,皮手袋を着用し、虫除け剤を使用します。

 

図2-25 地下施設近傍の地下水位観測結果
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図2-25 地下施設近傍の地下水位観測結果

幌延深地層研究センター地下施設近傍にある複数の浅層ボーリング孔における2006年6月〜2009年12月までの地下水位連続観測結果と日降水量及び立坑掘削の進捗との関係を示します。積雪期の0 ℃を超える気温上昇に対して鋭敏な地下水位の上昇が認められます。

高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全性を評価する上では、地層中での物質の移動を支配する地下水流動特性を把握するための調査解析技術が求められています。その地下水流動の解析では、実際の水理地質環境を解析で表現するための条件設定が重要です。数値シミュレーションにより地下水流動を評価する際には、対象領域への水の供給を考える上で、帯水層の上部境界条件を適切に評価し、設定しなければなりません。そのため、降水,積雪,融雪水,河川水の量等の水文学的情報に基づいて、地表から地下浅部までの水の浸透,中間流出,地下深部への涵養等を含めた浅部地下水流動系を把握する必要があります。

私たちは地下浅部における水の動きを探るため、北海道幌延地域の第三紀以降の堆積岩を対象として、気象観測,河川流量観測,地下水位観測,積雪水量調査等の表層水理にかかわる研究を実施しています(図2-24)。本研究では、積雪寒冷条件における地表から地下浅部への水の供給メカニズムを明らかにすることを目的に、長期間にわたる深さ3〜50 m程度の浅層ボーリング孔を用いた地下水位観測や気象観測結果の解析と周辺の地質構造情報等に基づく検討を行いました。その結果、水の浸透現象として、積雪寒冷地域では積雪期には積雪底面融雪が生じて地下への継続的な水の供給があること、積雪期に気温上昇があると積雪の表面が融解して積雪水で地下水位が上昇すること等が明らかになりました。また、長期にわたる観測結果から、幌延深地層研究センター地下施設建設(立坑掘削)に起因する表層付近の地下水位の低下は認められないという結果も得られました(図2-25)。

積雪寒冷地域では、積雪時や河川結氷時の水文・気象データ取得や積雪期の地表踏査が困難なことから、これまでは積雪期を含めた通年の水収支を正確に見積もることができませんでした。本研究の成果として、積雪寒冷地の通年の地表から地下への水の浸透についての定性的な知見が得られたことにより、通年の場としての積雪寒冷地の水理地質環境の詳細な評価に反映することができると考えています。


●参考文献
横田秀晴ほか, 北海道幌延地域における地下水位と地質構造に基づく浅部地下水流動に関する検討, 地下水学会誌, vol.53, no.2, 2011, p.193-206.


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