トップページ未来を拓く原子力2011>7 原子力基礎工学研究>7

7 原子力基礎工学研究

原子力研究開発の基盤形成と社会ニーズを踏まえた研究

図7-1 原子力基礎工学研究の役割
拡大図(144KB)

図7-1 原子力基礎工学研究の役割

 

図7-2 WSPEEDIによる解析結果

図7-2 WSPEEDIによる解析結果

2011年3月15日から16日にかけての放射性核種の大気拡散過程を推定したものを示します。発電所(☆)から北西方向で検出された高い線量率と良く一致しています。

 

図7-3 ポリイオンを用いた土壌表面固化技術の開発

図7-3 ポリイオンを用いた土壌表面固化技術の開発

セシウムは土壌表面に留まるため、樹脂状のポリイオンを塗布して飛散を防ぎながら表面を固化することで効果的な除染が可能になります。

原子力基礎工学研究部門では、我が国の原子力研究開発の科学技術基盤を維持・強化し、新たな原子力利用技術を創出するとともに、産学官の研究ネットワークを形成するなどして、社会の様々なニーズに積極的に応えることを目指しています。この目的を果たすため、原子力研究開発の枢要分野である核工学・炉工学,燃料・材料工学,環境・放射線科学に関する研究を進めています。また、原子力エネルギー基盤連携センターを通じて主に産業界との連携を強化し、イノベーションのための取組みを進めています(図7-1)。

核工学・炉工学研究では、最先端の理論・実験・計算機シミュレーションを駆使し、原子力システムの設計・解析手法の高精度化を進め、安全性や経済性に優れたシステムの開発に貢献しています。さらに、放射性廃棄物に含まれる長寿命核種を短寿命化するための分離変換技術の研究にも取り組んでいます。

燃料・材料工学研究では、革新的な核燃料サイクル技術の基盤形成と原子力プラントの材料に関する研究開発を進めています。特に、原子炉中での核燃料のふるまい、高レベル放射性廃棄物から長寿命核種を分離回収する方法、原子炉や再処理施設で発生する材料損傷の機構解明などの研究に重点的に取り組んでいます。

環境・放射線科学研究では、放射性物質の環境中移行挙動の研究や、最新科学に基づく放射線防護の研究を進めています。また、極微量の核燃料物質を検出して国際的な核不拡散の取組みに貢献したり、開発した化学分離技術を環境中の有害物質除去に役立てたりするなど、社会とのかかわりを強く意識した研究を進めています。

産業界との連携では、加速器で発生させた中性子を用いて医療診断用放射性同位元素を製造する手法を開発するとともに、放射性廃棄物のガラス固化技術の確立のための基礎データ取得などに取り組んでいます。

さらに、これまでに構築してきた科学技術基盤に基づき、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の復旧と周辺環境の修復にも最大限の精力を傾注しています。例えば、緊急時環境線量情報予測システム世界版(WSPEEDI)の解析(例:図7-2)により放出量を推定した結果などを国に提供するとともに、東京電力株式会社からの依頼を受けて放射性核種分析結果の妥当性評価や滞留水・使用済燃料プール水の分析及びその処理法の検討などを進めています。また、土壌の汚染状況把握と除染技術の開発(図7-3)などにも取り組んでいます。



| | | | |