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13 研究開発拠点における試験技術・施設等の開発

敦賀本部

2011年3月の東京電力株式会社福島第一原子力発電所( 1F)事故を踏まえて「もんじゅ」「ふげん」の緊急時安全対策を進めています。

「もんじゅ」は、2010年8月に発生した炉内中継装置落下トラブルの復旧のために、炉内中継装置の製作・機能確認などを行い、落下による原子炉容器,炉内構造物等への影響がないことを確認しています。また、性能試験の第2段階である40%出力プラント確認試験の実施については国の政策判断を踏まえることとしており、施設・設備の万全な維持管理に努めています。

「ふげん」は、廃止措置及び関連の技術開発を着実に進めています。特に、低レベル廃棄物は一般廃棄物として扱えるよう、除染設備の試験導入を進めています(トピックス13 -1)。

レーザー技術をはじめとする産学官連携による研究開発の推進など技術協力を積極的に進めています。

「もんじゅ」の安全性向上対策の取組み状況

拡大図(317KB)

「もんじゅ」の安全性向上対策の取組み状況

 

   

東海研究開発センター原子力科学研究所

東日本大震災で被災した研究用原子炉(JRR-3,JRR-4,NSRR)、臨界実験装置(STACY,FCA等)、核燃料物質使用施設(WASTEF,BECKY,第4研究棟等)、加速器(タンデム等)等の復旧を進めました。特にライフライン等を迅速に復旧させたことで、福島復興に向けた取組みを早期に着手可能にしました。

技術開発も間断なく進め、長期使用と繰り返し読み取りが可能な光刺激ルミネッセンス線量計を開発した(トピックス13 -2)ほか、研究所の保有技術等の利活用としても企業と連携した放射線メーター等の開発に成功しました。また、放射性廃棄物の合理的効率的処分の検討を進め、放射能レベルの非常に低いJRR-3改造工事で発生したコンクリートを対象としたクリアランスを進めています(トピックス13 -3)。

原子力エネルギー利用と量子ビーム利用を支える原科研の施設

原子力エネルギー利用と量子ビーム利用を支える原科研の施設


   

東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所

プルトニウム燃料技術開発センターは、MOX燃料の基礎物性等のデータ取得を行うとともに、日本原燃株式会社への技術協力としてPu分析用標準試料の調整に係る試験等を実施しました。

再処理技術開発センターは、耐震性向上対策工事の継続や六ヶ所再処理工場運転に係る技術協力等に加えて、1F事故を受けた冷却機能の確保等の緊急安全対策を実施しました。

サイクル工学試験部は、FBRサイクル技術基盤維持のための試験(トピックス13 -4)を実施しました。

環境技術管理部は、東海固体廃棄物廃棄体化施設の焼却設備の基本設計を実施するとともに、地層処分技術の信頼性向上等に関する試験を実施しました。

また、融点測定装置を用いて被覆管材と燃料を溶融し混合させた模擬燃料デブリを製作し、基礎データを取得する等の1F事故後の対処に向けた試験を実施しました。

プルトニウム燃料第一開発室で製作した模擬燃料デブリ

プルトニウム燃料第一開発室で製作した模擬燃料デブリ

 

   

J-PARCセンター

東日本大震災によって建家周囲地盤の陥没に伴う配管や受電設備等の破損、加速器機器のアライメントの狂い、実験装置や遮へい体のズレ等の被害を受けたため、運転を停止していました。しかし、関係者の懸命な努力の結果、2011年12月9日に加速器の運転を再開し、22日には物質・生命科学実験施設(MLF)に陽子ビームを受入れ、中性子ビームの発生を確認しました。その後調整を行い、2012年1月24日にMLF及び世界的競争を展開しているニュートリノ実験施設の利用運転を再開しました。3月中旬には、陽子ビーム強度が震災前と同等以上のレベルになり、MLFには210 kW、ニュートリノ実験施設には180 kWとなりました。J-PARCの利用者数も1月以後、震災前と同様に1ヶ月あたり2500人を超えるようになりました。そして、MLFの中性子利用では、タンパク質の構造解析、物質中の磁気を可視化する技術開発などの成果が出始めています。

物質・生命科学実験施設への陽子ビーム受入再開(2011年12月22日)

物質・生命科学実験施設への陽子ビーム受入再開(2011年12月22日)

 

   

大洗研究開発センター

東日本大震災で被災した施設・設備の復旧工事及び安全対策を行いました。また、1F事故の廃止措置に向けた研究開発として、材料の塩水浸漬試験やCs除染模擬試験等を実施しました。

材料試験炉(JMTR)は、再稼働に向けて施設の点検を行うとともに、最先端研究基盤事業に基づく施設整備として種々の照射装置の製作、照射試験炉シミュレータ等の製作・据付を行いました。

高速実験炉「常陽」は、復旧措置に必要となる装置等の製作設計を進めるとともに、これら装置類の炉外機能確認試験用模擬体を製作しました。

高温工学試験研究炉(HTTR)は、再稼働に向けて施設の点検及びコールド状態での確認運転、設備・機器の健全性に関する総合評価を進めました。

また、FaCT計画のナトリウム試験等を実施するための冷却系機器開発試験施設が竣工しました。

照射試験炉シミュレータの操作確認の様子

照射試験炉シミュレータの操作確認の様子

 

   

那珂核融合研究所

核融合エネルギーの実用化を目指した研究開発を進めています。

現在は、主に国際熱核融合実験炉(ITER)計画の国内機関としての機器開発・製作とともに、欧州と共同で実施している「幅広いアプローチ(Broader Approach:BA)活動」として、臨界プラズマ試験装置(JT-60)からITERの支援・補完研究を行うサテライト・トカマク装置(JT-60SA)への改修を実施しています。

2011年度は、ITERの超伝導導体の製作等を進めるとともに、JT-60の解体作業において、本体装置の主要機器であるトロイダル磁場コイルの解体・撤去を進め、年度末までに全18体の撤去を完了しました。

JT-60SA用の機器製作も進められ、実機の磁場コイルに用いる超伝導導体の製作の継続とともに、真空容器についても実機の40度セクター3体が搬入され溶接が行われました。

JT-60トロイダル磁場コイルの解体作業(2011年12月)

JT-60トロイダル磁場コイルの解体作業(2011年12月)

 

   

高崎量子応用研究所

産業への応用を目指した新機能・環境調和材料、医療応用・バイオ技術及び量子ビーム分析の研究開発や材料・機器等の耐放射線性評価研究のため、4基のイオン加速器からなるイオン照射研究施設(TIARA)と電子・ガンマ線照射施設を原子力機構内外の利用に供しています。また、マイクロビーム、シングルイオンヒット及び大面積均一照射等のイオンビームの形成・照射に係る技術や、三次元大気マイクロPIXE及び三次元精密描画加工などの応用技術の開発を行っています。2011年度は、数100 MeV重イオンの大面積均一照射技術開発の一環として、放射線着色フィルムを用いたビーム強度分布計測技術の開発を進め、520 MeV Arと490 MeV Xeについて、ビームの照射面積や均一度を評価できる見通しを得ました。

放射線着色フィルムで計測した520 MeV Arビームのガウス様二次元強度分布

放射線着色フィルムで計測した520 MeV Arビームのガウス様二次元強度分布

 

   

関西光科学研究所

木津地区は、高強度レーザーの品質向上などの高度化を行っています。高強度短パルスレーザーについては、パルス幅の低減及びレーザー波面の改善を行い、強度としてはこれまでの2倍の1021W/cmを達成しました。また、関西光科学拠点ネットワーク「融合光新創生ネットワーク」は幹事機関として、テラヘルツ〜X線、量子ビームに至る超広帯域の光源開発を行っています。

播磨地区は、大型放射光施設SPring-8にある専用ビームラインを利用して、物質・材料の機能発現機構や反応機構の解明の最先端解析技術の開発を進め、ナノテクノロジーやエネルギー・環境関連研究等に応用するほか、外部利用にも供しています。軟X線ビームラインでは、表面ナノスケール磁性体の元素を選別した超高精度磁化測定に成功しました。

高強度レーザー装置(J-KAREN)

高強度レーザー装置(J-KAREN)

 

   

幌延深地層研究センター

地下施設を建設し、堆積岩を対象とした「地層科学研究」及び「地層処分研究開発」を行っています。

地下施設について、換気立坑を深度約250 mから深度約350 mまで、東立坑を深度約250 mから約350 mまで掘削するとともに、西立坑の掘削に着手し深度約50 mまで掘削しました。また、深度250 m調査坑道の西立坑までの掘削を完了し、深度350 m調査坑道の掘削を開始しました。

地層科学研究では、地質環境調査の技術開発、地質環境モニタリングの技術開発、深地層における工学的技術の開発及び地質環境の長期安定性に関する研究を継続しました。

地層処分研究開発では、低アルカリ性セメントに関して、周辺岩盤や地下水に与える影響の調査を継続するとともに、深度250 mの調査坑道において施工試験を行いました。

深度250 mの調査坑道における低アルカリ性セメントの施工試験

深度250 mの調査坑道における低アルカリ性セメントの施工試験

 

   

東濃地科学センター

高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、主に花崗岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術や工学技術の研究開発、地質環境の長期安定性に関する研究を実施しています。

岐阜県瑞浪市で「超深地層研究所計画」を進めており、「瑞浪超深地層研究所」の研究坑道掘削については、2011年度は主立坑は深度481.3 mから深度500.4 mまで、換気立坑は深度497.7 mから深度500.2 mまでの掘削を行いました。その後、深度500 mの水平坑道掘削に着手し、主立坑、換気立坑ともに立坑と水平坑道との連接部分からそれぞれ5 m程度の掘削を行いました(トピックス13 - 12)。調査・研究は、研究坑道掘削時の岩盤壁面調査や、既存ボーリング孔において、地下水の水圧や水質の長期的な観測を継続しました。

深度500 mにおける主立坑と水平坑道との連接部分

深度500 mにおける主立坑と水平坑道との連接部分

 

   

人形峠環境技術センター

核燃料物質(ウラン)取扱施設である製錬転換施設及び濃縮施設に関する廃止措置技術開発を実施しています。製錬転換施設の解体は、「大型核燃料施設廃止措置」の国内初のケースとして、2008年度に施設の解体に着手し、2011年度に転換設備の大型機器類の解体・撤去を終了しました。この間、使用済流動媒体(紛体)貯槽の除染では、大きな面積の除染を行うため、作業性以外に経済性も考慮して、市販の除染剤の選定試験並びに効果的な除染手順の確立のための試験を実施し、管理区域の持出し基準(α: 0.4 Bq/cm,βγ: 4.0 Bq/cm)以下まで除染が可能であることを確認できました。

今後、1Fへの適用を含め、大型解体物の除染への活用を検討します。

除染剤による除染状況

除染剤による除染状況

 

   

青森研究開発センター

六ヶ所地区は、「核融合エネルギーの実現に向けた幅広いアプローチ(BA)活動」の拠点として三つの研究施設(原型炉R&D棟,計算機・遠隔実験棟,IFMIF/EVEDA開発試験棟)のうち、原型炉R&D棟については放射線管理区域を設定し、また、計算機・遠隔実験棟についてはスーパーコンピュータ(仏国Bull社製)の設置作業が完了し、2012年4月より本格運用を開始しました。

むつ地区は、研究施設等廃棄物処分場の操業を見据えた大型機器一括撤去処分等の合理的・経済的な解体手法における調査検討、含有される有害物の調査など原子力第1船原子炉施設の廃止措置並びに加速器質量分析装置(AMS)による極微量元素分析及び分析技術の開発を継続して行うとともに内外の利用に供しています。

スーパーコンピュータの外観

スーパーコンピュータの外観

 



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