13-8 世界が注目するHTTRの成果

−高温ガス炉による世界初の長期連続高温核熱供給の達成−

図13-18 HTTR燃料のFP閉じ込め性能 

図13-18 HTTR燃料のFP閉じ込め性能 

FPのひとつである88Krの放出率は燃料のFP閉じ込め機能を表しており、値が低いほど被覆燃料粒子内にFPを閉じ込める能力が高いことを示しています。高温連続運転期間中、放出率はほぼ一定であり、その値も他国で開発が行われていた高温ガス炉に比べはるかに低いことが確認できました。

 

図13-19 IHXの熱交換性能

図13-19 IHXの熱交換性能

IHXは原子炉で発生した高温の熱の1/3を2次系へと輸送する熱交換器です。高温連続運転期間中、1次系及び2次系のヘリウム温度並びに2次系への供給熱量はほぼ一定であることが確認でき、IHXを用いて原子炉で発生した熱を熱利用系に安定に供給できることを実証しました。

高温ガス炉は、固有の安全性を有していることや水素製造等の多目的熱利用や高効率発電が可能である等の特徴から、世界的に注目されています。原子力機構は、我が国初の高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR)を建設し、2004年4月に世界最高となる原子炉出口冷却材温度950 ℃を達成しました。しかし、高温ガス炉が発電や水素製造を行う実用炉として稼動するにあたっては、発電システムや水素製造システム等の熱利用系に長期にわたって高温の熱を安定に供給できる原子炉であることを実証しなければなりません。

そこでHTTRでは、原子炉出口最高温度が950 ℃となる高温試験運転モードでの50日間連続運転(高温連続運転)を2010年に世界で初めて達成しました。この運転では、長期連続運転に伴う燃料性能、高温機器の熱供給特性等の評価を行いました。

HTTRの燃料は被覆燃料粒子を用いていますが、高温状態での長期連続運転に伴う燃料の健全性(核分裂生成物(FP)の被覆燃料粒子内への閉じ込め機能)を確認する必要があります。そこで、代表的なFPである88Krについて、高温連続運転中の燃料からのFPの放出率について評価を行い、放出率は過去の高温試験運転とほとんど変わらず、また高温連続運転期間中、その値はほとんど変化していないことが確認でき、高温連続運転を行っても被覆燃料粒子が健全であり、高いFP閉じ込め機能を有していることを確認しました(図13 - 18)。

高温機器のひとつである中間熱交換器(IHX)は、原子炉で発生した熱を熱利用系へと輸送する機器であり、安定な熱供給を行うために欠かせない機器です。そこで、高温連続運転期間中のIHXにおける1次系及び2次系のヘリウム温度並びに2次系への供給熱量について調査を行い、高温連続運転期間中、熱量及びヘリウム温度が安定していることを確認し、IHXが長期にわたって高温の熱を2次系へと安定に供給できることを確認しました(図13 - 19)。

これらの結果から、高温ガス炉が長期にわたって安定に熱を供給できる原子炉となりうることを実証しました。

本研究は、日本原子力学会より平成23年度日本原子力学会賞「技術開発賞」を受賞しました。



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