7-3 ナトリウム冷却高速炉のメンテナンス技術の高度化を目指す

−不透明なナトリウム中の目視検査装置の開発−

図7-9 ナトリウム中目視検査装置システムの概略図

図7-9 ナトリウム中目視検査装置システムの概略図

送信センサから発信した超音波と受信センサで受信した超音波の時間遅れから検査対象との距離を検知します。

 

図7-10 画像化ターゲット

図7-10 画像化ターゲット

直線ターゲットは線幅3 mmで、線間隔は3、5、10 mmとしました。螺旋ターゲットは線幅4 mmで、1段あたり2 mm高さとしました。

 

図7-11 水中において超音波により取得した画像

図7-11 水中において超音波により取得した画像

改良を加えた送信センサ及び受信センサにより、ターゲットから800 mm離れた位置から鮮明な画像を得ました。

 


ナトリウム冷却高速炉の実用化に向けた要素技術開発の一つとして、不透明なナトリウム中の構造物を検査するためのナトリウム中目視検査装置(Under Sodium Viewer:USV)を開発しています。

実用化段階のナトリウム冷却高速炉において、USVによる原子炉容器内の検査は定期検査中に実施する予定です。効率的な定期検査を実施するためには、USVによる検査を素早く完了することが望まれます。そこで、私たちは約1 m離れた距離から検査可能で、なおかつ計測時間を短縮できるUSVの実現を目指しました。

図7-9にUSVシステムの概略図を示します。圧電素子を内蔵した送信センサより超音波を発信し、送信センサの周囲に設置した受信センサにより超音波を検出します。受信センサにおける超音波の受信の時間遅れから検査対象との距離が分かり、多数の受信位置における時間遅れのデータを用いることで検査対象の画像化を行います。本研究では、超音波により生じる金属膜における振動変位を光で検出する光受信システムを採用しました。光受信システムの利点は、従来よく用いられている圧電素子受信システムと比較して、小さい振動変位の情報を低損失で長距離伝送可能であり、また指向角が広いため高解像度の画像を得られることです。1 m離れた距離から検査可能という目標に対して、送信センサに用いる圧電素子を大口径化して音圧の向上を図りました。計測時間の短縮化という目標に対して、S/N比を向上させるために行う平均化処理等の影響を小さくするため、送信センサのダンパ性能の向上を図り、受信センサのノイズ低減を図りました。このように改良を加えた送信センサ及び受信センサを用いて水中画像化試験を実施しました。

図7-10に画像化ターゲットを示します。直線ターゲットは線幅3 mm、最小線間隔は3 mmです。螺旋ターゲットは線幅4 mm、1段あたり2 mm高さです。図7-11にターゲットから800 mm離れた位置から取得した画像を示します。図に示すように、直線ターゲット及び螺旋ターゲットともに、鮮明な画像を得ることができました。今後は、ナトリウム中での画像化試験を行うとともに、より鮮明な画像を得るためにさらなる送信センサ及び受信センサの改良に取り組んでいきます。

本研究は、経済産業省からの受託事業である「高速炉等技術開発」の一環として実施した成果を含みます。



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