公開日付: 2025年 7月18日
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10年以上の緩衝材の圧密挙動の把握を目指して
-長期室内試験で緩衝材の圧密データを取得-
図1 人工バリアを構成する緩衝材に作用するさまざまな力(荷重)
地層処分において、緩衝材は廃棄体の重さや岩盤の変形等によりさまざまな力(荷重)が作用しても、数万年以上の長期にわたって安全性を保つために、必要な厚さや密度を確保できるように設計する必要があります。
図2 4年間までの試験での経過時間とひずみの関係
緩衝材の沈下量(ひずみ)の経時変化は、初期の一次圧密とみられるひずみの増加後には、経過時間の対数に対して概ね直線的に二次圧密が進行しました。
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、廃棄体の周囲に緩衝材が設置され、地下の岩盤内に処分される計画です(図1)。人工バリアの構成要素のうち、粘土材料を主成分に考えられている緩衝材には、低い透水性や放射性物質の収着など、閉鎖後の処分場の安全確保に関して重要な機能が期待されています。また、緩衝材には、廃棄体の重さや岩盤の変形等によるさまざまな力(荷重)が作用します(図1)。この力は、緩衝材をゆっくりと圧密(ひずみを増加)させ、それにより廃棄体が沈み続けると緩衝材の厚さが減少する可能性があります。
このため、緩衝材の長期的な圧密挙動を評価するためのデータ取得やモデル開発が必要です。従来の装置では、数か月程度が限界でしたが、10年以上の長期の連続計測を可能にするため、外的要因(停電や地震等の試験の実施に影響を及ぼすもの)の影響を排除した新たな圧密試験装置を構築しました。これまでに、停電や震度4程度の地震の影響を受けることなく、約2.7~4年間圧密試験を継続し、時間の対数に対して直線的なひずみの増加(沈下)が継続する二次圧密が継続することを確認しました(図2)。今後、10年以上の長期連続計測を目標に、より長期の圧密データを取得する予定です。
謝辞
本研究は、原子力発電環境整備機構との共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究(平成30年度~令和2年度)(令和3年度~4年度)」の成果の一部です。
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参考文献
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