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公開日付: 2024年 5月 23日

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事故時の急激な出力変動下の燃料ふるまいを捉える
-燃料挙動解析プログラムパッケージFEMAXI-8.1の開発-

図1 事故時特有の燃料挙動の一つである膜沸騰*1とFEMAXI-8.1による最高被覆管表面温度の検証解析の結果(グラフの破線は解析値と測定値の誤差が±10 %の領域を表す)</b><br /></p>

図1 事故時特有の燃料挙動の一つである膜沸騰*1とFEMAXI-8.1による最高被覆管表面温度の検証解析の結果
(グラフの破線は解析値と測定値の誤差が±10 %の領域を表す)

(a)膜沸騰中は被覆管表面の熱伝達が極めて低くなり、出力の上昇と相まって燃料棒の温度が急昇するため、事故時の安全解析を行うにあたって重要なモデリング要素の一つです。(b)未照射及び照射済み燃料のRIA模擬試験をモデル化し、事故時向け沸騰熱伝達モデルを備えFEMAXI-8.1による解析結果と試験中に測定された被覆管表面温度を比較しました。

軽水炉燃料棒は二酸化ウランペレットとジルコニウム合金製の燃料被覆管で構成されます。原子炉に挿入されている制御棒の異常な引き抜き(反応度事故:RIA)が起こると、燃料棒は急峻な出力変化と高温に曝されます。このような過酷な条件での燃料棒のふるまいを正しく理解し、適切な安全評価に結びつけるためには、限られた事故模擬実験データをもとに、実際に事故が起こった際の燃料棒全体の様子を推定できるシミュレーションツールが不可欠です。

原子力機構では、これまで通常運転時及び出力過渡時用として燃料挙動解析プログラム(FEMAXI)を開発し、168ケースもの照射ケースとの比較を通じて信頼性を確認してきました*2。本研究では、膜沸騰(図1(a))などの事故時に特有の燃料挙動を予測できる解析モデルを新たに開発してFEMAXIに導入するとともに、数値計算安定性を向上させることにより、RIA解析も可能な燃料挙動解析プログラムパッケージFEMAXI-8.1として完成させました。原子炉安全性研究炉(NSRR)で実施したRIA模擬試験141ケースを実際に解析して、RIA解析の性能を確認しています(図1(b))。このとき、解析は全てのケースでエラーなく完了しており、計算安定性の向上も実証できました。

本パッケージは原子力機構が運営するコンピュータプログラムデータベースPRODASから入手可能です。推奨する解析条件セットも併せて提供しており、ユーザが燃料の設計情報や出力など基本的な情報を指定することで、一定の予測性能を発揮するRIA解析を実行することができるようになりました。

*1Saito, S. et al., Development of In-Reactor Fuel Behavior Observation System, Journal of Nuclear Science and Technology, vol.18, issue 6, 1981, p.427–439.
*2Udagawa, Y. et al., Model Updates and Performance Evaluations on Fuel Performance Code FEMAXI-8 for Light Water Reactor Fuel Analysis, Journal of Nuclear Science and Technology, vol.56, issue 6, 2019, p.461–470.
著者情報
参考文献
田崎 雄大ほか,燃料挙動解析コードパッケージFEMAXIの機能拡充; 軽水炉燃料の反応度事故時挙動解析モジュールRANNSの開発と検証,JAEA-Data/Code 2024-012, 2024, 76p.
論文PDF: JAEA-Data-Code-2024-012.pdf

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