公開日付: 2025年 4月 11日
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炉内配管破損事象が生じてもタンク型ナトリウム冷却高速炉の安全性は維持されることを確認
図1 炉内配管がギロチン破断した場合の原子炉容器内の冷却材の流れ
次世代の高速炉の候補として開発を進めているタンク型ナトリウム冷却高速炉は、炉心を冷却する一次ナトリウムと直接熱交換を行う二次ナトリウムの熱交換器(中間熱交換器)及び一次ナトリウムの配管(炉内配管)を原子炉容器の中に設置する点を特徴としています。このため、炉内配管破損が生じてもその影響が原子炉容器内に限定される(ナトリウムと空気との燃焼反応などが生じない)という特徴を持ちます。
高速炉の安全性を確認するため、いくつかの代表的な事故事象(設計基準事故)を想定し、想定した事象の影響が重大な放射性物質の放散に至らないことを、安全評価を実施して示す必要があります。タンク型ナトリウム冷却高速炉では、定格運転時の炉内配管内の圧力が相対的に高くなる点を踏まえ、設計基準事故の一候補として炉内配管破損事象を想定しています。
炉内配管のギロチン破断を想定すると、ポンプから吐出された冷たいナトリウムが炉心部を通過せずにコールドプールに流出する流れが支配的となり(図1)、急激に炉心流量が低下して炉心燃料が高温化し、炉心燃料の破損とそれに伴う放射性物質の原子炉容器内への放出が生じる恐れがあります。このため、炉心燃料の破損が生じる前に炉心に制御棒を挿入して原子炉を停止し、炉心の健全性を確保することが重要となります。原子力機構では、このような炉内配管破損事象を想定した多数のシミュレーション解析を、炉心の核的挙動及び原子炉容器内の伝熱流動挙動をモデル化した計算機プログラムを用いてパラメトリックに実施し、炉内配管破損が生じても炉心燃料が破損する前に原子炉を停止し、炉心を安全に冷却できることを確認しています。
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