公開日付: 2025年 4月 16日
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四極から八極へ
-大強度イオン加速器から強く安定したビームを供給するために-
図1 八極磁場によるビーム構成粒子の運動方向分散(エミッタンス)の低減
加速器から出力される荷電粒子ビームを増強することで、加速器をより広い範囲で効率的に利用することが可能となり、検出に多くの統計数を必要とする、稀な事象の探索による新たな物理の発見などを可能にします。大強度のビームを実現するには、ビームを構成する粒子の運動方向の分散(エミッタンス)を低く保つようにビームを輸送し、粒子が加速器機器に意図せず衝突することによる放射化を低減することが課題となります。そこで本研究では、シミュレーションと理論に基づいて、大強度イオン線形加速器の低エネルギー領域における、粒子同士の電気的な相互作用による運動方向分散の悪化のメカニズムを記述し、その抑制方法について提案しました。
通常の加速器では、四極磁場(四重極磁場)と呼ばれる磁場によってビームを収束し、輸送しています。本研究では、四極磁場が発生している地点に、八極磁場(八重極磁場)と呼ばれる磁場を加えて発生させることでエミッタンスを低減されることを示しました(図1)。この方法は、ビーム輸送の最適化に八極磁場という新たな視点を与えるものです。この方法を適用することによって、加速器の放射化を低減し、加速器を大強度かつ高安定に運転することが期待できます。
謝辞
本研究は、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2114)の支援を受けたものです。
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