公開日付: 2025年 3月 31日
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空から放射線を測る
-東京電力福島第一原子力発電所周辺の10年の空間線量率観測成果-
航空機モニタリングによって得られた空間線量率の経時変化を示しています。事故直後に高かった空間線量率は、除染や自然減衰の影響で時間の経過とともに減少しています。
表1 1Fから半径80 km以内の空間線量率ごとの面積割合の経時変化(2011年~2022年)
空間線量率ごとの面積割合の経時変化を示しています。2011年には0.2 µSv/hを超える地域が全体の約95 %を占めていましたが、2022年には約23 %まで減少しました。
2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故以降、私たちは、航空機モニタリングにより1F周辺の空間線量率を継続的に評価してきました。航空機モニタリングは、広範囲かつ迅速に放射線量の分布を把握でき、人や車ではアクセス困難な山林などの測定も可能です。事故直後は避難指示区域の設定に貢献し、その後も除染や自然減衰の影響を踏まえた避難指示区域の見直しや解除など、住民の安全確保にも重要な役割を果たしています。
図1と表1に示すように、事故直後には1Fから半径80 km以内の約95 %の地域で空間線量率が約0.2 µSv/h(平常時に一般の人が1年間に受ける実効線量限度、1.0 mSvにおおよそ相当する)を超えていましたが、時間経過とともに空間線量率は減少し、2022年には約23 %にまで低下したことが確認されました。航空機モニタリングにより空間線量率の変化を定量的に把握し、その推移を明確に示すことで、1F事故の影響を受けた地域の復興や住民の安全確保に向けた科学的な情報を提供してきました。これらの測定結果は、原子力規制庁のウェブサイト*を通じて一般に公開されています。
航空機モニタリングは、他の発電所で万が一事故が発生した際の緊急時モニタリングの手段としても位置づけられており、地上インフラの状況に依存せず広範囲かつ迅速な測定が可能です。この特長を活かし、事故の影響を受けた地域を適切にゾーニング (zoning:区域分け)し、住民の安全確保のための効果的な対策に役立つことが期待されています。
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