公開日付: 2025年 11月 4日
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ALPS処理水の安全性を独立に分析する
-規制当局による独立モニタリング-

図1 ALPS処理水から分離した14Cの液体シンチレーションカウンタによる測定結果
ブランク:放射性物質を含まない試料、従来法:従来法でALPS処理水から分離した14Cの試料(分離できなかった3Hによって低エネルギー側のカウントが増加し、グラフ範囲を超過)、改良法:従来法に3Hと129Iのトラップを追加した改良法でALPS処理水から分離した14Cの試料、14C標準液:14Cの標準溶液から調製した試料を示します。
東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出は、その安全性について国内のみならず国際的にも大きな関心を集めました。規制当局である原子力規制委員会は、核種濃度分析の客観性及び透明性担保のため、独立したモニタリングを実施する必要があります。安全研究センターは技術支援機関として原子力規制庁からの委託を受け、放水開始に先立ち2022年3月に採取されたALPS処理水に含まれる放射性核種(90Srや137Cs等13核種)を分析しました。その結果、3Hを除き、分析した核種の濃度が安全基準を下回っていることが確認されました。また、統計的手法を用いた評価を行い、東京電力の分析値が妥当であることを確認しました。現在も年1回の独立モニタリングを継続しています。
図1はALPS処理水から分離した14Cを液体シンチレーションカウンタにより測定した結果を表します。固体放射性廃棄物に含まれる14Cに対する従来の分析法では3Hや129Iが十分分離できないため*、これらの核種に対するトラップを加えることで、14Cだけを分離して精度の良い分析結果が得られました。
* 亀尾裕ほか,研究施設等廃棄物に含まれる放射性核種の簡易・迅速分析法(分析指針),JAEA-Technology 2009-051, 2009, 81p.
謝辞
本研究は、原子力規制庁からの受託事業「令和4年度原子力施設等防災対策等委託費(東京電力福島第一原子力発電所プラント内核種移行に関する調査)事業」の成果の一部です。
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