7-1 次世代ナトリウム冷却高速炉の安全設計ガイドライン

−世界の最新高速炉開発プロジェクトへの展開を目指して−

表7-1 各国の最新SFR

日本、フランスは、これまでの開発経験から増殖技術は習得済みであり、使用済燃料や放射性廃棄物対策を主な狙いとしています。一方、ロシア、インド、中国では、エネルギーセキュリティの観点から高増殖を指向しており、早期の本格導入を目指して開発が進められています。

表7-1 各国の最新SFR

 

図7-4 SDC/SDGにおけるシビアアクシデントの防止と緩和に関する設計対策のイメージ

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図7-4 SDC/SDGにおけるシビアアクシデントの防止と緩和に関する設計対策のイメージ

(a)万が一、原子炉停止に失敗し、炉心損傷に至った場合にも原子炉容器内で損傷炉心を保持し冷却できるようにする対策です。
(b)自然循環除熱機能を有する崩壊熱除去系に加えて、多様性のある代替除熱手段を取り入れて、炉心をナトリウムから露出させることなく除熱を確保する対策です。

 


第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)では、次世代のナトリウム冷却高速炉(SFR)の国際標準となる「安全設計クライテリア(SDC)」と、これを具体的に設計に展開するための推奨事項を示す「安全設計ガイドライン(SDG)」の整備を進めています。私たちは、これまでに「常陽」「もんじゅ」の設計・建設・運転、実用化研究開発によって蓄積されたSFRの安全設計技術に基づいて、これらのドキュメントの整備の中核を担って活動を続けています。これらのドキュメントは、GIFや国際原子力機関(IAEA)の活動を通じて世界に発信され、各国の最新のSFR安全設計に浸透してきています。また、GIFを通じて各国の規制機関や国際機関にも送付され、フィードバックを得ながら改定を行っています。

世界各国で開発が進められている最新SFRの代表例を表7-1に示します。最新SFRの安全設計では、SFRの特徴に応じた設計対策が講じられており、特に、シビアアクシデントの防止と緩和に関して、SDC/SDGに沿った設計対策が導入されています。

具体的には、SDC/SDGでは炉心損傷防止について受動的な反応度低減機能または固有の反応度フィードバック特性を活用した出力低減機能を備え炉心損傷を回避して原子炉停止できること、格納機能確保について炉心損傷を想定しても原子炉冷却材バウンダリの破損を防止すること、つまり、図7-4(a)で示されるように、原子炉容器内での事故終息(IVR)の達成を推奨しています。各国の最新SFRでは、いくつかの設計選択があるものの、受動的方策の導入あるいは強化が検討されており、フランスのASTRIDでは流体圧浮遊式制御棒及びキュリー点電磁石方式の自己作動型炉停止機構が検討されており、ロシアのBN-1200やインドのCFBRでも類似の概念が検討されています。また各国の最新SFRでは、炉内コアキャッチャの設置等が検討されており、炉心損傷時のIVR達成を目指しています。

原子炉停止後の崩壊熱除去については、SFRでは高沸点のナトリウムを冷却材として用いていることから、冷却材沸騰までの温度上昇余裕が大きく炉心損傷に至るまでの時間余裕が大きい、自然循環能力が高い、静的機器による液位維持が可能といった特長があります。このような特長を踏まえて、SDC/SDGでは、原子炉容器とガードベッセルの信頼性を確保して原子炉容器内ナトリウム液位を維持すること、崩壊熱除去系の機能強化や独立性の高い代替手段により冷却性を維持することによって、崩壊熱除去機能の喪失を実質的に回避することを推奨しています。各国の最新SFRでは、図7-4(b)に示されるように、1次冷却材系全域をカバーするガードベッセルの設置、多様性に配慮した崩壊熱除去系構成、自然循環能力の取り込み等によって防止対策の信頼性向上を図って、崩壊熱除去に必要なナトリウム液位の喪失と炉停止後の崩壊熱除去設備の機能喪失に起因する炉心損傷の防止を目指しています。

このように、SDC/SDGに沿って安全対策の強化を図る方向で各国の最新SFRの安全設計が進められています。今後も私たちは、これまでの高速炉開発経験を最大限に活用して、高速炉の安全設計を世界の最新高速炉開発プロジェクトへ展開することを目指していきます。

本研究は、経済産業省資源エネルギー庁の「平成28年度高速炉国際協力等技術開発」の成果の一部です。



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